文化のみち掘美術館 藤田嗣治、棟方志功、小西紀行、フィリピン現代作家等展示

文化のみち掘美術館
藤田嗣治、棟方志功、小西紀行、フィリピン現代作家等展示

小西紀行『無題』
 名古屋市東区主税町にある堀美術館が所蔵作品を入れ替え、さらに新たな作品を加えて展示、公開している。新しく購入した小西紀行は今注目されている作家の一人で、その作品は、人間を描いているが妖怪のような、カタチがとろけていく陽炎のような100号程の油絵による人物画だ。見学に来た小、中学校の生徒は興奮してみていく。彼の作品が名古屋で展示されるのは初めてのことだろう。
写真右:小西紀行の妖怪に似た油絵作品『無題』
 堀財団の堀会長はすごく魅力的だから買ったという。僕も新しい傾向の作品が美術館のイメージを刷新していていいと思う。会長は普段、藤田嗣治や安井曾太郎、棟方志功を中心に所蔵、購入し展示しているが、今回はそれに加え若い小西紀行の作品や経済発展の目覚ましいアジアの作家の作品も買ったわけだ。彼も美術館に新しい風を吹き込みたいと思っているのかもしれない。

 堀美術館の今回の展示作品にはその看板でもある藤田、梅原、棟方、須田剋太、加山又造等の作品も各々5~6点並んでいる。

藤田嗣治
写真上:藤田嗣治の全作品
 藤田嗣治などは全て人物画で揃え、その人物画を見ているとパリで暮らす藤田の思考が分かるような気がしてくる。藤田の人物画だけでもこれだけ揃う美術館をあまり知らない。

棟方志功
写真上:棟方志功の肉筆画『風林山房図」
 棟方志功は100号大の木版画も展示してあるが版でなく筆で描いた肉筆画の150号大の作品もある。これは力作で僕もこれまで見たことはなかった。この作品は見る者を圧倒しギャラリーに勢いをつけている。これも人物画で小西や藤田の人物画と競い合っている。目立つはずの梅原の人物像が遠慮してしまっているのは面白い。

ロデル・タパヤ
 この展示作品中で特異な作風で目立つのはフィリピン人の作家、ロデル・タバヤの200号に及ぶ妖怪を描いたような作品群だ。彼の国にいるだろう精霊や妖怪をじつに楽しく面白く描いてある。オウムやワニといった南国の生き物も妖怪と絡んで描かれている。この作品は水木しげるのフイリッピン版に思えるが絵のレベルは水木をはるかに超えている。
写真上:ロデル・タパヤ作品 『Modern captives』

ロデル・タパヤ全作品
写真右:ロデル・タパヤの展示されている全作品。
 堀会長はこの作家を香港のアートフェアで見つけ気に入って、まだ無名の10年程前から支援しているという。この作者はその後世界の数々のコンクールで受賞して、現在は国民の英雄的存在になっているとか。この東区の妖怪エリアにアジアの妖怪まで集まっているようだ。妖怪たちはここ堀美術館に集まって、アジア妖怪サミットをしているのだろうか。

 堀美術館は前述のごとく東区の主税町にあるが、このあたりは僕が出した『名古屋力・妖怪篇』でも提示している『妖怪街道』のど真ん中にあたる。小西紀行の妖怪のような作品がこの地に来たということは、この地にうごめく妖怪がたくらんだことだろうか。すぐ近くにはあの飛鳥時代の「壬申の乱」を見ていただろう、幹の直径が3メートル程ある古木もある。壬申の乱には東海地方の人々も戦いに加わり、大友皇子と大海人皇子側につくものがいて戦ったという記録がある。

 名古屋市は、名古屋城から堀美術館、貞奴の双葉御殿などを通って徳川園までを文化のみち(僕に言わせると妖怪街道)として整備した。ここを歩いて堀美術館にはいり、そして妖怪たちの雰囲気を感じてもらうと嬉しい。


堀美術館全景
※ 文化のみち「堀美術館」
場所 名古屋市東区主税町4丁目4‐2
電話 052-979-5717
開館日時 土、日と祝日(12:30~17:00)
公益財団法人、堀科学芸術振興財団 堀美術館
写真右:堀美術館全景

 この美術館は三岸節子の全大作の半分ほどを所蔵していることで全国に知られるが、今回は展示していない。日本画の杉山寧や伊東深水、前田青邨等も今回は雰囲気が違うのか展示されていない。堀会長は栄の丸善ビルや明治屋ビルを購入していて今後この土地がどのように使われるか僕には気になる。僕の勝手な願いは東京の森ビルのように美術館も併設した巨大な施設になるといいがということだ。栄地区も再開発が活発化するし、遅れた名古屋の文化も東京に近付けると思うのだが。


※小西紀行という名の同姓同名の芸術家はもう一人いる。「妖怪ウオッチ」の作者がそれだ。名前は二人とも完全に同じだが読み方が違っている。今回堀美術館に展示されているのは「こにしとしゆき」、妖怪ウオッチの作者は「こにしのりゆき」だ。同一人物かと思ってインターネットで調べたが名前の読み方と出身地が違うことが分かっただけで、決定的なことは分からなかった。「妖怪ウオッチ」を出している小学館にも電話を入れたが、分からないという返事だった。インターネット上では「こにしとしゆき」は写真があったが「こにしのりゆき」は見つからない。生年月日も「こにしとしゆき」は1980年、「こにしのりゆき」は10月3日とあるだけで年は書かれていない。意図的に隠しているともとれる。もし同一人物で、現代美術作家が仮面漫画家として妖怪ウオッチを描き、名前を読み方だけ変えているのなら、ものすごく面白い。どちらも妖怪の(ような)絵を描いている。前者は広島出身、妖怪ウオッチの方は長崎出身。どちらも原爆が落とされた所だ。一人二役なら歴史上、そのような美術作家はいないと思う。画家と文筆家、医者と漫画家あるいは小説家などはよくあるが、漫画家と現代美術作家は聞いたことがないので、もし同一人物なら、大きな話題となり、作品にも値がついて大変なことになるだろう。
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プロフィール

絵描きの山彊

Author:絵描きの山彊
山田彊一プロフィール
1964「ニューヨーク,日本人アーティスト14人展(最年少で選抜される。脇田和氏らと) 
1967 第6回シェル美術展(佳作賞)
1981 第3回中日美術展(大賞)
1982 第4回エンバ美術賞展(優秀賞)
1983 第5回宇部絵画トリエンナーレ展(優秀賞)
1984 第5回大阪現代版画コンクール展(優秀賞)
1985 第1回和歌山版画ビエンナーレ展(大賞)
1986 第2回IBM絵画コンクール(大賞)
1989 第11回エンバ美術賞展(準大賞)
1995 第1回中国・北京現代展(優秀賞)
1997 第8回大阪トリエンナーレ展(特別賞)
<著書>
『そして地獄・そして芸術』(ギャラリー安里)
『中学が爆発する』(風媒社)
『きしめん紳士が行く』(風媒社)
『ナゴ・ナラ』(アドア出版)
『おもしろ老後生活術』(黎明書房)
『ピカソはやっぱり名古屋人』(アドア出版)
『僕らにできる教育革命』(アドア出版)
『名古屋力 アート編』(ワイズ出版)  
『名古屋力 妖怪篇』(ワイズ出版) 
『妖怪インニューヨーク』(ワイズ出版)等                   

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