官兵衛と佐藤陽子 大野城まどかぴあ版画ビエンナーレ

官兵衛と佐藤陽子
大野城まどかぴあ版画ビエンナーレ

大野城まどかぴあ版画ビエンナーレ
 僕の教室の生徒さんが福岡市に隣接する大野城市の「大野城まどかぴあ版画ビエンナーレ」展で大賞(賞金30万円)を獲得した。
写真右:大野城まどかぴあ版画ビエンナーレ展パンフレット
 大野城市の文化の中心である大野城まどかぴあは初代館長が版画家の故池田満寿夫で彼の作品が展示されており、芸術振興に力を入れている。「大野城まどかぴあ版画ビエンナーレ」展は2年おきに催している全国規模の版画コンクール展で、出品者は全国に渡り、年々規模が大きくなってきている。地方の都市の活性化にもつながり、日本や各地との文化交流にも貢献している素晴らしいコンクールだ。作品レベルも高い。すぐ隣にはあの有名な太宰府があってこの地との観光地コラボにもなっている。

福岡城案内板
 いつも僕は生徒さんが賞を取ると、教室の仲間たちとお祝いに駆けつける。今回も無論出掛けたが、せっかく福岡まで行くのならついでに今福岡で開催中の「福岡アジア美術トリエンナーレ2014」を見ることと、大河ドラマ官兵衛ブームの福岡での様子を見てこようと、台風が来る中、飛行機で出かけた。
写真上:福岡城跡案内板

福岡城門
 以前雪舟研究で五島列島に行き、帰りに長崎に寄った時は、大河ドラマ竜馬伝のブームで街全体が燃えるような熱気を呈しており、行く先々に女性の旅行客があふれていた。また全てのホテルが満室で隣の町に行かなければ宿の確保が不可能な状況だった。今回博多の街はそんな盛り上がりは感じられなかった。
写真右:福岡城門

備中高松城水攻防戦の図
 唯一僕の気を引いたのは多くの店のショーウィンドウに並ぶ500円ほどの官兵衛そばだった。これは普通のラーメンの上に官兵衛と焼版された大きくて丸い半平が乗っているものだが、麺と半平がかみ合わず、全然おいしそうでなかった。半平の語呂合わせなら竹中半兵衛ではと思ったりもした。官兵衛にあやかるのなら、軍師の名に負けないようになにかアイデアがほしい。例えば有名な備中高松城の水攻めの話から、スープを水に見立て、城を麺や具で再現するなど、子供でもにこりと笑えるアイデアがあるといい。
写真上:備中高松城の水攻めの図

 それにしても福岡ではどうして龍馬伝の時の長崎ほど盛り上がりがないのか。その理由をちょっと考えてみた。長崎も福岡もともに両ドラマの主人公の出身地ではない。竜馬の長崎滞在は一時期で、官兵衛の終焉の地は福岡だが、全国を駆け巡りずっと福岡にいたわけではない。
 では違いは何か。まず主人公の生き方だ。竜馬は土佐藩を脱藩し、自由人となって日本の未来のためにその青春を賭け、わずか31歳の若さで死んでいく。一方官兵衛は時の権力者、信長、秀吉、家康のために表向きは自分の一生を捧げている。戦国の世を生き抜くためには仕方のないことだったのだろうが、やはり竜馬の方に共感を抱く人の方が多い気がする。また主役はともに人気の男優だが、福山雅治の方が幅広い年齢層の女性に人気がある気がする。さらに戦闘シーンが多すぎるドラマは一般的に女性は好まないということも聞く。そして何よりミーハー的な旅行が好きなのは女性なのだ。こんなわけで福岡は今一つ大河ドラマの追い風に乗れないと僕は分析した。

松井さんと大賞作品
 さて主目的の版画ビエンナーレ展だが、冒頭に述べた通り、作品のレベルもなかなかのものだ。大賞の松井眞善さんの作品は歌舞伎役者を描く写楽を現代的にアレンジした画風で男性にも女性にも好かれそうだ。シンプルであっても細かなマチエールが美しく、それでいて一見泥臭いシルク版画である。
写真右:松井さんと大賞作品
 彼は僕と一緒にメキシコやニューヨークへ行って展覧会をした仲間で、似顔絵が上手だ。ニューヨークでは若い黒人や白人を描き彼女等にもてていた。今その懺悔からか、四国のお遍路の旅に出かけている。授賞式には出席したが、途中で抜けてすぐお遍路に舞い戻った。

草薙桂子さん作品
 惜しくも賞を逃したが、入選者の中で賞候補№1だった草薙桂子さんも僕の教室の生徒さんだ。綿棒をうまく使いまるで生き物の様な作品を創り出している。僕の教室では新人の方だが既にたくさんの全国コンクールで受賞、入選を繰り返している。昨年、三重県立美術館で個展して評判になった。
写真左:草薙桂子さんの作品前で僕と松井さん(彼女は入院のため会場に来られなかった)

 余談だが審査員の一人は現在大野城まどかぴあの名誉館長で池田満寿夫の最後の伴侶である佐藤陽子だった。以前彼等と親交のあった僕の友人の山村國晶さんによると、若い頃の彼女は小柄ですごくかわいかったという。山村さんの兄(山村昌明)が池田満寿夫の刷り師であり、その関係で山村さんも時折池田満寿夫にあったことがあるそうだ。その兄は著名な画家でもあったが既に亡くなっている。

松井さんと佐藤陽子氏
 池田満寿夫はその小柄で魅力的な佐藤陽子を見染め、自作の映画「窓からローマが見える」で便器に座った彼女のお尻を登場させている。僕も映画を見たが、いやー艶っぽかったね。僕も有名になって自分の好きな女をこんなふうに紹介したいと思ったものだ。
写真右:松井さんと佐藤陽子さん

 だが今回、僕のそのイメージは潰された。すぐ目の前にいる僕より12歳も若い彼女は、体重のせいか歩くのもよぼよぼで年老いた桃太郎みたいだった。「愛する夫を失うと食べるのが癒しになるのよ」と、隣にいた大宰府出身の、佐藤陽子と同年代のスリムな女性画家に言われた。年月が僕の幻影を食べつくしていたのだ。

大宰府の牛
写真左:触ると頭がよくなる元祖大宰府の牛。大野城市は大宰府にも近いので訪れ、牛や飛梅など見学をしてきた。

※前述した「福岡アジア美術トリエンナーレ2014」についてはまたの機会にお話ししたい。




スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

カウンター(since2011.1.1)
プロフィール

絵描きの山彊

Author:絵描きの山彊
山田彊一プロフィール
1964「ニューヨーク,日本人アーティスト14人展(最年少で選抜される。脇田和氏らと) 
1967 第6回シェル美術展(佳作賞)
1981 第3回中日美術展(大賞)
1982 第4回エンバ美術賞展(優秀賞)
1983 第5回宇部絵画トリエンナーレ展(優秀賞)
1984 第5回大阪現代版画コンクール展(優秀賞)
1985 第1回和歌山版画ビエンナーレ展(大賞)
1986 第2回IBM絵画コンクール(大賞)
1989 第11回エンバ美術賞展(準大賞)
1995 第1回中国・北京現代展(優秀賞)
1997 第8回大阪トリエンナーレ展(特別賞)
<著書>
『そして地獄・そして芸術』(ギャラリー安里)
『中学が爆発する』(風媒社)
『きしめん紳士が行く』(風媒社)
『ナゴ・ナラ』(アドア出版)
『おもしろ老後生活術』(黎明書房)
『ピカソはやっぱり名古屋人』(アドア出版)
『僕らにできる教育革命』(アドア出版)
『名古屋力 アート編』(ワイズ出版)  
『名古屋力 妖怪篇』(ワイズ出版) 
『妖怪インニューヨーク』(ワイズ出版)等                   

最新記事
カテゴリ
最新コメント
月別アーカイブ
最新トラックバック
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR