雪舟を追ってニンポーへ(4)

雪舟を追ってニンポーへ(4)最終
<中国の狂気と驚喜>
<フリーセックスで中国の一人っ子政策はどうなるか>
 


 以前、中国が米国や日本並みの経済国家になったら世界は終わるだろうと言われた。13億を超える人口のエネルギー消費やそれにともなう公害の発生を考えた上での発言だったように思う。たった1週間の滞在で決断を下してはいけないが、太陽も月も星も見えず、又ほんの少しの青空すら見られなかったことは上記の予測が当たっていたのではとも思える。まるで中国は地底都市状態だ。以前四日市でもあれだけ騒がれた大気汚染が、中国は四日市の数万倍の規模で起きている。スモッグに耐え切れず20~30年後には大挙して中国人が、環境難民として強引に日本にやってくるのではないか。日本に帰り青空を見た瞬間、この空があれば少々不景気になろうが有難いことだと僕は思った。眼がいやされ空気がおいしいのだ。

明るい表情の人々
 逆に中国には無くて有難いものもある。滞在中蚊に刺されたことはなかったし、蠅もまず見なかった。ゴキブリやネズミにも出くわさなかった。僕は何度も中国へ行っているがこれは本当に不思議だ。どこかにいるのかもしれないが、目にしていない。大都市ばかりの旅行だったからか。まあどうやって駆除したか、調べると案外面白い事実にぶつかるかもしれぬ。そういえばエコカーも見なかった。これだけ大気が汚れているのだから導入するべきではないかと思うのだが。

 僕が街を歩いていて一番感激したのは、人びとの表情の明るさだ。誰を見ても生き生きとしている。まるで修学旅行中の中学生が見せるようなわくわく感いっぱいの顔をしている。何をしても楽しくてたまらないといった感じだ。
写真上:街を歩くだけで楽しい様子の中国人。表情がいい。 

金魚釣り
 公園隅の池に金魚を放出し、お金を取って金魚すくいならぬ金魚釣りをやらせているおっさんもいる。小さい金魚がかわいそうだ。日本ならしらけるが中国人には楽しいらしい。今中国では政府がお抱えのメディアを使って「中国は今これも世界一!」「あれも世界一!」とその経済力や国力を喧伝し、豊かで幸せな社会をピーアールし、国民を煽っているからだろうか。皆来るべき中国の明るい未来を信じているから表情も生き生きしているのだろう。
写真上:公園の隅で金魚釣りを楽しむ人々。(小さな金魚なのに可愛そう)


ニンポーのバス内
  滞在中は、乗り合いバスによく乗った。バスはまだ最近2元(どこまで乗っても28円程)に値上がりしたばかりらしい。この運賃の払い方も滅茶滅茶で興味津津となる。1元であわよくば逃げ切ろうとする者(音で1元コイン1枚と分かるが、怖そうな客だと運転手は注意しない)、後で財布からお金を出すふりをして通り過ぎ最後まで出さない者といろいろだ。運転手の方も知り合いらしき者にはタダで乗せたり、たばこ1本もらって乗せたりと勝手気まま。お金を払わず乗ったおばさんが気に食わないと、道路の真ん中でバスを止め降りるまでバスを動かさない。おばさんは降りざるを得ない。またスピードに遠慮はなくタクシーとも競い合う。何時ぶつかるかとドキドキする。僕は乗車券用の細かい2元が無く20元札を出し料金箱に入れたが、運転手はおつりをくれない。運転手を信用していないバス会社は用心しておつり用の現金を持たせてないのだ。僕のお金は透明な集金ボックスに見えるのにもう取り出せない。でもまあ20元でよかった。100元でも入れてたら真っ青だっただろう。それからの僕は常に小銭をいっぱいポケットに入れて歩いていた。最後使い道が無くなったから、路で物乞いをしている身障者や年寄りにあげてきた。こんなふうに交通ルールお構いなしに走るバスやタクシーその他の乗り物を見ていると中国での列車衝突事故がなぜ次々起きたか、すんなり納得できる。またその後どうして事故列車を埋めたかもわかる気がする。しかし例の中国新幹線の列車事故は人命がかかっていただけに適当に済ませることができず、埋めた列車を掘り出し、検査すると言っていたが、その後どうなったか知らされていない。
小学校の授業が終わり乗りこんでくる生徒らは、周囲と比べると皆こぎれいで王子様、王女様のよう。降りるバス停には車や三輪自転車、馬車が待っている。それぞれの親やお手伝いさんのお出迎えなのだ。乗り合いバスで中国の社会が色々みえてくる。
写真上:バス内の様子。小奇麗な小学生が乗りこんできた。

 日本へ帰る際には、ニンポーの後、上海にも寄って、対岸の浦東に美しい超高層ビルが乱立するさまを眺めていた。中山東一路沿いの遊歩道を歩くのは10年ぶりだ。10年前は北京の大学の教授達の案内だったが今回は僕一人のみ。ふらふら歩いていると直ぐいろんな人に「可愛いねーちゃんいますよ」と声をかけられた。ポン引きだ。もう以前の儒教の面影は無くなったと思わされた。新聞発表によると現在中国では毎日190人がエイズに感染し、感染者が70万人になっているとか。大学の周辺には若者たちが利用するラブホがものすごくできたということだが、それでもテスト後には使用する学生が多くて入りきれないという。中国もフリーセックスを謳歌するようになったのか。
 「山彊先生、中国は一人っ子政策をとっているのに性を野放したら政策の逆行になるのではありませんか」。それは違う。僕はこのことで日本と同じように中国は子供の数を、一人っ子政策を取らなくても減らせると思う。日本も中国も男の多くは、その青春時代には性的関心が頭の中を独占している。これまでの中国人は儒教の影響もあって結婚というスタイルを取らなければ性行為は許されないものだった。だから結婚を急ぎ、そのためついでに子供もたくさんできてしまった。性が自由になれば、結婚しなくても性的欲求をみたせる。また結婚するには、特に男性は経済的基盤が必要だ。すると早々と結婚もできず晩婚になり、子供を産める時期も狭まり、必然的に子の数も減るのではないか。さすればフリーセックスを黙認したほうが人口減少には効果的と言える。
 ところで上海駅の大便トイレには今もドアが無く、小便に入った僕は他人のお尻を見ながら用を足した。時折僕は男子便所と間違えて女子便所へ入るが(トイレの表示がよくわからないためで決してわざとではない)、女子便所でこの情景を見たら卒倒だろう。

 さてこれで雪舟がらみの中国ニンポー編は終わるが、12月にはDアートビエンナーレで選ばれた39人のアーティストの中から、さらに最優秀者に選ばれた5人のアーティストを連れて展覧会のためにまた北京に出かける。そこで若いトップアーティストたちがどんな反応を示すか楽しみだ。

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プロフィール

絵描きの山彊

Author:絵描きの山彊
山田彊一プロフィール
1964「ニューヨーク,日本人アーティスト14人展(最年少で選抜される。脇田和氏らと) 
1967 第6回シェル美術展(佳作賞)
1981 第3回中日美術展(大賞)
1982 第4回エンバ美術賞展(優秀賞)
1983 第5回宇部絵画トリエンナーレ展(優秀賞)
1984 第5回大阪現代版画コンクール展(優秀賞)
1985 第1回和歌山版画ビエンナーレ展(大賞)
1986 第2回IBM絵画コンクール(大賞)
1989 第11回エンバ美術賞展(準大賞)
1995 第1回中国・北京現代展(優秀賞)
1997 第8回大阪トリエンナーレ展(特別賞)
<著書>
『そして地獄・そして芸術』(ギャラリー安里)
『中学が爆発する』(風媒社)
『きしめん紳士が行く』(風媒社)
『ナゴ・ナラ』(アドア出版)
『おもしろ老後生活術』(黎明書房)
『ピカソはやっぱり名古屋人』(アドア出版)
『僕らにできる教育革命』(アドア出版)
『名古屋力 アート編』(ワイズ出版)  
『名古屋力 妖怪篇』(ワイズ出版) 
『妖怪インニューヨーク』(ワイズ出版)等                   

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