YOKAI (妖怪) in New York 第5話 エンパイア=バンパイア?ステートビルディング

YOKAI (妖怪) in New York 
第5話 エンパイア=バンパイア?ステートビルディング

エンパイアステートビル
 僕の友人の一人に、ニューヨークに20年程いて日本に帰ってきた彫刻家、和泉俊昭がいる。彼に「ニューヨーク、マンハッタンの妖怪エリアはどこなのか教えて?」と質問をしてみた。すると「しいて言えば全部だ、この街自身が妖怪だよ」という答えが返ってきた。彼のいた頃、道端に血が流れている死体が転がっていてもその上を平然と跨いで行く若い女性がいたそうだ。彼には、みながバンパイア集団に見えたとか。
 彼は今から20年程前に名古屋へ帰って来て、その後ニューヨークには行っていないと言う。街中全てが妖怪だと答えた彼に、滞在当時の記憶の中で特に妖怪の中心エリアと思われたところをあげてもらうと、エンパイアステートビルディングだと答えた。
写真右上:ライトアップされたエンパイアステートビル、後方はクライスラービル
 バンパイアの映画やテレビドラマのエンディングはほとんどがこのビルだそうだ。ここには良くも悪くも何か変わった雰囲気がある。ニューヨークっ子のほとんどは同じ思いじゃないかな、とも答えてくれた。親によっては子供たちにエンパイア(ステート)ビル(ディング)のことをバンパイアビルと言って、吸血鬼が出るから夜このビルには上がってはいけないと教えている人もいるとか。

 我々が5月のニューヨーク美術展から帰っての10日後、このビルの前で銃撃戦があった。このビルに勤めていた男が首になって、その上司をエンパイアビルの前で射殺して、駆け付けた警官と銃撃戦となり最後には射殺された。流れ弾で通行人の9人が負傷したという。何かこのビルには人の血を欲しがる吸血鬼のような妖怪が巣食っているようだ。

B25 エンパイアステートビルに激突
 9.11の折にはこのエンパイアビルが通信関係の電波の代役を荷ったというが、実はこのビルも1945年に自国のB25爆撃機が誤って建物の79階に激突する事故が起きた。11名の人が亡くなったけれどビルは崩れなかったという。強固な建物であったわけだ。バンパイアビルだから不死身なのか。
写真左:B25爆撃機が突つこんだエンパイア・ステートビルとその傷跡

 また、ここには毎年平均20個程の雷が落ちるという。高いのが第1の原因だろうが、一晩に3回も落ちたことがあると聞くと、何か異常な力が働いているのではと思いたくなる。バンパイアかあるいは超常現象を引き起こす何かが雷を引き寄せているのかもしれないと想像する人がいるのもうなずける。
 1931年にこのビルは完成し、クライスラービルを抜いて世界1位になった。新聞は大きく取り上げたというが、入居者は少なく75パーセントの空き部屋があったという。当時は1929年に起きた世界大恐慌の後で不況であったこともあるが、何か住みたくない原因があったのではないか。

ホテルニュージャパン火災後
 東京、赤坂にあったホテル「ニュージャパン」のオーナーだった横井英樹も一時期このエンパイアステートビルを買い取っている。ご存知のようにこのニュージャパンのホテル火災はホテルの不備が原因でもあったから営業禁止処分になり廃業してしまっている。
写真右:東京にあったホテルニュージャパンの火災後の看板
 実はこのホテル、大戦中、日本軍によって珍しく撃墜された米軍のB29が落ちる際、偶然このビルに直撃し全壊させている。横井英樹の買い取った2つのホテルのどちらにもアメリカ製の爆撃機が飛び込んでいる。何か不思議な偶然を感じる。


エンパイアビル展望台
 明るい話題としてはエンパイアビルは恋人たちにいい場所も提供している。カップルがこの屋上、展望台で愛を告発すれば未来永劫二人は結ばれるといわれ、たくさんの愛が成立しているとか。バンパイアは永久に生き続けるから、恋人同士の愛も未来永劫ということなのだろうか。
写真左:エンパイアステートビル86階にある展望台


Evelyn Mchale
 しかしながら高所の例にもれず、このビルは飛び降り自殺の名所でもあるらしい。建物の完成以来31人以上の人が自殺しているという。
 1947年5月1日、婚約者に遺書を残しビルの屋上から飛び降り自殺した23歳の女性がいた。86階から飛び降りればまず体のすべてが地面にぶつかった衝撃で半ば潰れるが、自殺した彼女の顔にはほとんど傷がなかったという。写真右:飛び降り自殺したイブリン・マックヘイル
その場に居合わせた写真家ロバート・ワイルが撮影した写真は、最も美しい自殺というキャプションとともにライフ誌に載り当時大きな話題となった。落ちたのは車のロールスロイスの上で手には真珠の首飾りが握られていたという。バンパイアが死とは美しく甘美なものだと、人間を自殺にいざなっているようにも思える。

 その映像をあの妖怪のような版画家であるアンディ・ウォーホールがシルク版画作品にしている。銀のかつらをかぶった妖怪もどきの彼はこの化物ビルでの出来事に引かれるのだろうか。

写真下左:赤インクによるシルク版画自画像  写真下右:上の写真をもとにしたシルク版画作品ともにアンディ・ウォホール作
赤インクによるシルク版画自画像アンディ・ウォホール作品


エンパイアバンパイア

<ニューヨークの妖怪シリーズ>
 さて今回も上記の話に因んだ僕のオリジナル妖怪を紹介したい

⑦ 妖怪 『エンパイア・バンパイア』
 エンパイアビルからの自殺が多い。だがマンハッタンのシンボルでもあるビルを暗く描きたくない。だから明るい方の話題を素材にして明るい色調でまとめてみた。これを見て私たちも愛を語りにニューヨークへ行ってみたいと思ってもらえると嬉しい。

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プロフィール

絵描きの山彊

Author:絵描きの山彊
山田彊一プロフィール
1964「ニューヨーク,日本人アーティスト14人展(最年少で選抜される。脇田和氏らと) 
1967 第6回シェル美術展(佳作賞)
1981 第3回中日美術展(大賞)
1982 第4回エンバ美術賞展(優秀賞)
1983 第5回宇部絵画トリエンナーレ展(優秀賞)
1984 第5回大阪現代版画コンクール展(優秀賞)
1985 第1回和歌山版画ビエンナーレ展(大賞)
1986 第2回IBM絵画コンクール(大賞)
1989 第11回エンバ美術賞展(準大賞)
1995 第1回中国・北京現代展(優秀賞)
1997 第8回大阪トリエンナーレ展(特別賞)
<著書>
『そして地獄・そして芸術』(ギャラリー安里)
『中学が爆発する』(風媒社)
『きしめん紳士が行く』(風媒社)
『ナゴ・ナラ』(アドア出版)
『おもしろ老後生活術』(黎明書房)
『ピカソはやっぱり名古屋人』(アドア出版)
『僕らにできる教育革命』(アドア出版)
『名古屋力 アート編』(ワイズ出版)  
『名古屋力 妖怪篇』(ワイズ出版) 
『妖怪インニューヨーク』(ワイズ出版)等                   

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