海外青年協力隊でアフリカベナンへ

アフリカ、ベナンへ行った娘

 僕の教え子の娘さんがベナン共和国から一時帰国した。そして父親と一緒に我が家にやって来た。彼女は名大の院を出た後、海外青年協力隊に加わりベナンに行っている。父親は最愛の娘が遠くアフリカの地で一人で暮らしていることが心配でしょうがない。僕はアフリカは5か国ほど訪れている。いずれも一人旅でサバイバルのような旅だった。マリ共和国へ行ったときは10㎏体重が減って帰国した。だから僕からアフリカに関する情報を少しでも多く得て、危険な状況に出くわしたらいかに切り抜けるかを、山田先生からよく聞いておきなさいということで、娘とともに我が家を訪問したわけだ。
 「今でしょう」で有名になった予備校の先生である林修さんは、「人生で負ける原因は、情報不足と間違った思い込みによる」と述べている。僕の教え子である父親は、娘の情報を少しでも多くしたいと僕に会わせたのだろう。

ダル湖に浮かぶハウスボート(豪華版)
 人生で負けたわけではないが、思い込みで僕には面白い失敗がある。インドのスリナガルでダル湖に浮かぶハウスボートというゴージャス(?)な船のホテル(客は僕一人)に泊まった折のことだ。
写真右:インド・スリナガルのダル湖に浮かぶハウスボート(一泊3000円程、今から40年前のインドルピーを当時の日本円に換算したものだからインドではゴージャスなホテルと言える)
写真下:同じハウスボートだがこちらは一泊300円程の安いもの。水の汚さを見てほしい。
ダル湖に浮かぶハウスボート(安いもの)
 乗船してすぐ、下痢気味だからトイレに入った。終わった後、今度は口がカラカラであることに気付いた。ふと横を見るとピカピカの水道の蛇口が目に映った。口の渇きで思考も鈍り「ワー、水道がある!」と感激し口を付けてガブガブ飲んでしまった。10数分後、猛烈な腹痛が走り、またトイレに駆け込んだ。冷静になって考えてみた。汚い湖(昔はきれいだったらしい)に浮かぶボートにどうやって水道を引いてくるのか。トイレの僕の排泄物は直接湖に放出される。これは糞が水面に落ちる水音で分かる。そこで気付いた。「そうだ、水道の水もその横から直接吸い上げているのだ。ひょっとすると僕の排せつ物を僕が飲んでいたかもしれない」と。ゲボー、もう遅い。水道の蛇口を見ればすぐ飲めるきれいな飲料水だと思ってしまう都市に住む人間の思い込みがこのような結果を生むのだ。林先生もこのようなことを言っているのだろう。

 さて教え子の娘さんからはベナンの話をいろいろ聞いたのでちょっと紹介したい。
 まず想像にたがわず、蚊がものすごいらしい。もちろん刺されれば死に至るマラリア蚊も飛んでいる。日本人はすぐ刺されるが当地の人はほとんど平気であるという。何故なら皮膚が厚くて固く、蚊が刺せないらしいのだ。注射針も日本から持って行ったのは現地の人に使うと曲がってしまうという。皮膚が固いということは皺もできにくく年齢が分からない。おばさんたちにはいい事ではないか。
 またこの国は政府も国民も自国がアフリカ№1の民主国家だと自負しており、本当にそう思ってもいるそうだ。ベナンは中国人が少ない。何故少ないかを知れば、何故民主国家なのか、その理由がすぐわかる。資源がなく奪うものがないから皆平等で、中国人もやってこないのだ。徴兵制もあり国民はカツカツな生活を強いられ、国民同士でも盗むものがない。女性の識字率は23パーセントほどだという。

ベナンの石鹸
 教え子の娘さんが日本へのお土産として大量に持って来たのは、この国で作られた石鹸だ。
写真右:ベナンのお土産の石鹸
これ以外の土産品がないらしい。この国では又、お米や麦は健康に良くないと思われているらしい。主食はほぼトウモロコシであるという。以前もどこかで書いたと思うが、ケニヤ人は健康に良くないからといって、コーヒーは飲まず魚は食べないことに似ている。輸出用の大切なキリマンジャロコーヒーは民衆に飲まれては困るし、ナイロビは海から遠く、高価な魚を食べられても困るのだ。
 このベナンは数年前に僕が一人旅をしたマリ共和国に近い。両国とも最貧国。マリ共和国がベナンと違うのは、マリではお土産用のお面がいっぱい売られ、過激派がいっぱい入り込んでいることだ。資源が少ない国なのに過激派が多いのは、アルジェリアやリビアに隣接しているからだろうが、お面は何故多いのか。アフリカでお面のあるところはサバナ気候で国が比較的に富んでいるところ。このマリはニジェール川に支えられ、その昔は砂漠を行き交う隊商の交通や経済の要所だった。その影響だろうか。マリはある時期少しはゆとりがあったのだ。
 資源のすくないベナンは観光立国を目指しているそうだ。それを踏まえ僕が彼女に期待するのは、石鹸以外のお土産も考えてはどうかということだ。「山彊先生、何がいいアイデアがありますか」。トウモロコシで動物などの形にしたクッキーやせんべいでも作ったらどうだろうか。石鹸もただ四角いだけでなく、象さんやお猿さんの形にしたらどうか。彼女はもう帰国してしまったからお父さんが木で作ったひな型の彫刻を送ってやったらどうだろうか。大阪の難波の裏街へ行けばいっぱい売られている。
 これで当たれば彼女はベナンの救世主。ベナンの大統領から求愛され、大統領夫人になれるかも。「山彊先生、それだけは許してください。娘には早く日本へ帰ってきてほしいんです」と父親。
 でも僕の提案は冗談でなく本気だ。まず娘さんがやれるこういったことから国興しをしていけばいい。僕がベナンへ行けたら、当地の現状を見ていろいろ提案したいなという気持ちがわいてくる。僕が彼女だったら、アイデアを駆使して試行錯誤を繰り返し、ベナンの英雄となりたいなんてことも考えてしまう。


さて恒例の僕のオリジナル妖怪の作品紹介に移りたい。今回は妖怪銀座、尼ケ坂近辺の妖怪を紹介させていただく。

⑩ 首飛び  写真右
首飛び
 名鉄の尼ケ坂付近は妖怪銀座と称せられる。ここには江戸時代、罪人の処刑場があり、処刑された首が晒してあったという。中には無実の者の首もあったのだろう。その首は平将門のように無念に耐え切れず飛んで行ったと噂された。

⑪ 坊ケ坂  写真下

 尼ケ坂のすぐ隣に細い暗い坂がある。江戸時代、侍と恋に落ちた町娘が子を宿したが、男に振られて尼になりその後自殺した。いなくなった母を追ってさまよった坊やが亡くなったこの坂を「坊が坂」と人々が呼ぶようになった。これらの死が絡む出来事は人々をこのあたりから遠ざけ、尾張藩が落延び街道としてこの近辺を利用するのに好都合だったと思われる。

坊が坂
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その他の妖怪につて

本当は人生における妖怪話もあるのではと思いました。
今回は地歴のなかの妖怪が主人公になっていますが、
是非、暮らしの中で出会った妖怪話も聞きたいものだと思うのです。
なかなか一般人(私など)には妖怪に出会う機会も無く、
感性の問題で、隣りに妖怪が座っていても感じないのです。
やはり、研ぎ澄まされた感性が必要だと思いました。
普遍性、再現性が無い妖怪の世界の事なのが、
次元の問題なのか、いつまでたっても謎がつきません。
最近考えている事は原理原則があるのなら未来も見通せるはずではと考え、未だに未来が見通せないのは原理原則が見つかっていないからではと思うのです。
見える人には見える妖怪と同じで、それぞれの画家が描く絵は、考えて描いているのではなく、画家は見えている通りに描いているのではと思えてきました。絵は見える通りに描く事だと思うのです。
だから、必要なのは眼力ですね。名古屋力ではちょっと無理。
では、また。

No title

記事に載せていただきありがとうございます。
ベナンで中国人の姿はなかなか見当たらりませんが、いわゆる中華街のようなものを形成して、大人数で生活しているようです。
ベナンの首都近郊における道路建設事業は中国によって行われています。
そして、たくさんのアドバイスありがとうございます。
資本主義国家の日本からすると、もったいないだらけで、あーすればいいのに、こーすればいのにという思いがあとを立ちません。
ただ資本主義にも疑問が浮かぶ中、彼らの人間的な生活を尊重しながら、彼らが自分たちで気づいて、考えて工夫して、やりたいと思えることを支援してあげる立場でありたいと思っています。
ベナンは平和です。日本と同じく平和ボケしそうなほどです。人も穏やかです。ベナンに来れて、多くを学ばせてもらえる協力隊事業に感謝です。
カウンター(since2011.1.1)
プロフィール

絵描きの山彊

Author:絵描きの山彊
山田彊一プロフィール
1964「ニューヨーク,日本人アーティスト14人展(最年少で選抜される。脇田和氏らと) 
1967 第6回シェル美術展(佳作賞)
1981 第3回中日美術展(大賞)
1982 第4回エンバ美術賞展(優秀賞)
1983 第5回宇部絵画トリエンナーレ展(優秀賞)
1984 第5回大阪現代版画コンクール展(優秀賞)
1985 第1回和歌山版画ビエンナーレ展(大賞)
1986 第2回IBM絵画コンクール(大賞)
1989 第11回エンバ美術賞展(準大賞)
1995 第1回中国・北京現代展(優秀賞)
1997 第8回大阪トリエンナーレ展(特別賞)
<著書>
『そして地獄・そして芸術』(ギャラリー安里)
『中学が爆発する』(風媒社)
『きしめん紳士が行く』(風媒社)
『ナゴ・ナラ』(アドア出版)
『おもしろ老後生活術』(黎明書房)
『ピカソはやっぱり名古屋人』(アドア出版)
『僕らにできる教育革命』(アドア出版)
『名古屋力 アート編』(ワイズ出版)  
『名古屋力 妖怪篇』(ワイズ出版) 
『妖怪インニューヨーク』(ワイズ出版)等                   

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