あいちトリエンナーレ2013 納屋橋会場がすごい!

あいちトリエンナーレ2013 納屋橋会場がすごい!

 納屋橋会場は元ボーリング場として建設されたものを東陽倉庫がテナントビルとして使っているというが、半ば廃墟のような建物である。しかし使用制限が少なく作家が自由に使えるという利点がある。そんなことも影響しているのか見ごたえのある作品群になっている。

 前回は愛知県にいてトリエンナーレに加われない芸大関係の美術作家(フリーの現代美術作家は除く)の不満解消のため、この場所を県芸、名芸、名造形大の先生や卒業生にそれぞれ50万か30万円を払って使わせたので作品の迫力に欠け、僕には感激が薄かった。「これは僕たちへのボーナスだ」と言っていた先生もいたくらいだ。今回は国内外のやる気ある作家たちの作品のため、刺激のある作品群になっている。これなら見がいもあるし、今後もやってほしいという気になる。 

片山真理作品
 まずすごいのは片山真理の作品で、これは自分の生活の場(寝室や台所など)やその中での自分を撮影したポートレートだ。写真右:片山真理のポートレイト
 彼女は20代で美人。だが、幼い頃に病気で足を2本とも失っている。自分の足で大地を踏みしめた覚えがもう長い間無いそうで、失った脚へのこだわりが強く感じられるが、それでも猛烈に生きようとする意欲が生活の場を写した写真を見ていると強く感じられる。
 この展示小部屋に入った瞬間、僕はメキシコの女性画家、フリーダ・カーロの部屋と同じだと直感した。僕はつい3,4か月前にメキシコに出かけ、フリーダ・カーロの自宅を改造した美術館を訪れている。カーロも小児麻痺や、鉄の棒が体を貫く大きな交通事故でほぼ寝たきりになるが、それにめげず立ち上がって大作家リベラの妻になり、またトロッキーやイサム野口と不倫するなど波乱万丈の人生を送っている。メキシコシティーの美術館は正しくこの部屋の雰囲気と同じだ。
 納屋橋会場で彼女に会い「メキシコのフリーダ・カーロ知っている?」と尋ねたら、「カーロの美術館に行きたくて仕方ないが治安が悪く心配でまだいっていない」との事だった。怖いもの知らずのすごい迫力の自作品をバックにしてのこの発言を聞いて、その落差に僕は少々面食らった。
 
リチャードウイルソン作品
 リチャード・ウィルソンはコンクリートのビルに挑戦して、ビルそのものを妖怪のごとく変化させる芸術家だが、今回もさすがだ。
写真左:リチャード・ウィルソンの動くボーリングレーン
 トリエンナーレ全作品の中でこの作品だけは僕の思考力を超えていると思った。ビルの壁に穴をあけボーリング場のレーンを列車のように移動させる。その上には動かない10本のピンや実物大の球が固定されている。本物と逆になってレーンが動いているのだ。その動くレーンはビルの外壁を突き抜け青空へと突き進んで行く。まさにビル使用に関して禁止事項が少ないために成しえた作品である。

クリスティナ・ノルマン作品
 エストニアの作家クリスティナ・ノルマンは旧ソ連の占領時代に建てられた兵士をかたどった金色の像が倒されている作品を映像とともに展示している。
写真右:クリスティナ・ノルマンの旧ロシア兵の金の像
 この撤去に伴いエストニア系と旧ソ連系の両市民がぶつかりあい、現在のエジプトのような状態になったという歴史がある。僕は数年前にグルジアを訪れ、10日程滞在し民族間対立の憎しみのすごさを身にしみて感じている。グルジアの首都のビルの壁に内戦(旧ソ連が係っている)でできた弾痕が至る所にみられた。このような関係をこの作品は鮮明に表現している。

名和晃平作品
 名和晃平の作品は子供でも興奮するエキサイティングな作品だ。教室の4,5倍の部屋を暗くして海砂をまき、洗剤の泡を南極大陸と思わせるぐらい発生させている。
写真左:名和晃平の泡を使った南極大陸を連想させる作品
 この泡作品は僕の友人であった吉田稔郎が40年ほど前に大阪の具体展でやっているが、表現方法や見た目のショック度は今回の方がはるかにすごい。僕はこの頃、自動シャボン玉製造機を3台作って京都のギャラリー16で個展をし、続けて愛知県美術館でも1部屋使ってシャボン玉を空中に何千個も飛ばした。子供たちは大喜びであったが美術館側は頭に来ていただろう。当時はごみ裁判の一人として僕は恐れられ、新聞社が絡んでいたこともあり、ごみ作品の折のような強制撤去はできないでいた。この会場でこのことを思い出した。僕が40年早かったのか、名和晃平が40年遅かったから良かったのか。

青木野枝作品
 竹田尚史の秤の上に作られた部屋も一発で狙いが分かり面白かったがこのビルの目玉であった青木野枝の作品「ふりそそぐもの」は存在感がなかった。
写真右:青木野枝の「ふりそそぐもの」
この作品は廃墟ビルよりニューヨークの超モダンな中にあったほうが作品効果を上げると思ったりもした。

 現代美術に興味関心のある方には納屋橋会場は必見の場所だと思われる。ぜひ行ってみて頂きたい。






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プロフィール

絵描きの山彊

Author:絵描きの山彊
山田彊一プロフィール
1964「ニューヨーク,日本人アーティスト14人展(最年少で選抜される。脇田和氏らと) 
1967 第6回シェル美術展(佳作賞)
1981 第3回中日美術展(大賞)
1982 第4回エンバ美術賞展(優秀賞)
1983 第5回宇部絵画トリエンナーレ展(優秀賞)
1984 第5回大阪現代版画コンクール展(優秀賞)
1985 第1回和歌山版画ビエンナーレ展(大賞)
1986 第2回IBM絵画コンクール(大賞)
1989 第11回エンバ美術賞展(準大賞)
1995 第1回中国・北京現代展(優秀賞)
1997 第8回大阪トリエンナーレ展(特別賞)
<著書>
『そして地獄・そして芸術』(ギャラリー安里)
『中学が爆発する』(風媒社)
『きしめん紳士が行く』(風媒社)
『ナゴ・ナラ』(アドア出版)
『おもしろ老後生活術』(黎明書房)
『ピカソはやっぱり名古屋人』(アドア出版)
『僕らにできる教育革命』(アドア出版)
『名古屋力 アート編』(ワイズ出版)  
『名古屋力 妖怪篇』(ワイズ出版) 
『妖怪インニューヨーク』(ワイズ出版)等                   

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