あいちトリエンナーレ2013 レポート

あいちトリエンナーレ2013 が始まる

 第2回あいちトリエンナーレが開催中(2013.8.10~10.27)だ。会場は先回と同様、愛知県美術館や名古屋市美術館、それに長者町や納屋橋の廃墟のようなビルが会場だ。今回はそれに岡崎市も加わっている。

 「まず始めに山彊先生はこのトリエンナーレに賛成ですか、反対ですか」。
もちろん賛成だが不満はある。ではその不満は解消できるのかというと、この愛知の入り組んだ文化事情では無理だろうというのが僕の見解だ。
CD表紙
 島国状態の愛知は各勢力が小競り合いをしてドロドロしていてまとまれない。競い合うことはいい事だが、ただそれぞれが御山の大将を狙っているだけ。県の行政側が県内の芸術関係者に話をもっていっても、勢力争いで喧嘩状態になり、誰に任せたらいいか決められない。そこで県はやむなく県外の者にトリエンナーレのプロデュース等を任せることになる。これは前回と同様だ。となると税金を出しているのに愛知県人の参加は最小限になる。(このあたりの詳しいことは今発売されている建築誌『C&D』に僕が原稿10数枚でまとめているから読んでいただきたい)写真右:建築誌『C&D』の表紙

 「山彊先生、御山の大将の権力争いとよく言われますが、具体的にどんなことですか」。
例えば僕自身の事で恐縮だが、この愛知県内のある大きな市から美術展の審査をしてほしいと依頼された。たまたまその市に僕の中学、高校の時に同級生だった女子学生の夫が住んでいて絵を描いており、その美術展に出品するという。彼は妻から僕のことを聞いて、美術展に出す前、自分の描いている油絵を見てほしいと我が家にやってきた。写真のような写実的な絵で、僕の美術的評価ではどうしょうもない絵だと思ったけれど、わざわざ来て頂いたのにあまりはっきり言えず、「こことここを直さないと入選もできませんよ」と助言した。その絵はその市で力を持つ画家に習い描いたものらしい。だから同級生の夫は、習っている先生に遠慮して、修正せずに美術展に出した。
 他の市から出された作品とその市で力を持つ画家の弟子の作品のレベルの差は歴然としており、僕は公平な目で見て同級生の夫の絵を落選させた。そのため通常数年は続く筈の審査員はその1年で、首になった。自分等の御山を壊されては困るのだ。これがこの愛知の芸術文化の現状と思えば分かりやすいのではないか。実力よりも義理や縁故、(議員等の)社会権力が優先するのだ。

 さて話を戻すとして、今回のトリエンナーレの印象はどうか。目玉のオノ・ヨーコは存在感が薄い。観念アートの作家だからともいえるがオープニングにすら顔が見られず、これは名古屋人、愛知県人に対する軽視ではないかと思うのだが。
オノヨーコ作品オノヨーコ電話作品
写真左:今回のあいちトリエンナーレ展のミラーボールのような作品  写真右:オノ・ヨーコの横浜トリエンナーレの『電話』作品
 オノ・ヨーコは以前、横浜のトリエンナーレで会場入り口に大きなガラス張りの電話ボックスを作り、ここへ1日に1回は彼女自身が電話を入れるという作品を出していた。この作品では電話を入れるという彼女自身の行為、仕事があってまあ面白いと思ったが、今回に彼女が出した作品は、昔のキャバレーの天井で回るミラーボールのように僕には思え、美術作品のアイデアとしてはあまりに幼稚でありきたりに感じられた。
テレビ塔につけられた電飾のメッセージもいまいちアートとしての独創性にかけ面白くない。
 大阪出身のヤノベケンジの鉄腕アトムを連想させる作品もすごいが、もう20年ほど前から同じような作品を見せつけられているといまさらという気がする。名古屋だからいいというのではないだろう。

ドクメンタ展会場
 「山彊先生ならどんな日本の作家を持ってきますか?」
せっかく愛知でやるのだから、まず愛知県出身の作家にする。

この地には少し古いが超有名な現代美術家の河原温や荒川修作がいる。河原温についてはドイツのカッセルで開催されたドクメンタ展で1部屋使った「日付を打つパフォーマンス」を僕は見ている。写真右:ドクメンタ展会場
この作品には深く考えさせられた。日本人として誇らしかった。

河原温作品ドクメンタ展での僕
写真左:河原温のドイツ・ドクメンタ展の『One Million Years』(ガラスケースの中でDJが西暦の日付を5分ごとに読み続ける)
写真右:最終日ドクメンタ会場に一番乗りした僕。この折のドクメンタ展には3回来ている。

 数年前に亡くなった荒川修作は作品が愛知県美術館にも名古屋市美術館にもコレクションされていて、その他にも無数にあるから費用はいらぬ。彼は旭丘高校の美術科の出身。前回の県芸のように卒業生を使うと盛り上がるのではないか。


 僕は愛知県美術館、名古屋市美術館、その他の会場などいろいろ見て回ったが、このあいちトリエンナーレ展で一番の見どころは納屋橋会場だと思う。ここの作品群を見て『あいちトリエンナーレ』も捨てたものではないと思った。どんな点で納屋橋会場が良かったのか、次回にこの納屋橋会場の作品群について述べたいと思う。




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プロフィール

絵描きの山彊

Author:絵描きの山彊
山田彊一プロフィール
1964「ニューヨーク,日本人アーティスト14人展(最年少で選抜される。脇田和氏らと) 
1967 第6回シェル美術展(佳作賞)
1981 第3回中日美術展(大賞)
1982 第4回エンバ美術賞展(優秀賞)
1983 第5回宇部絵画トリエンナーレ展(優秀賞)
1984 第5回大阪現代版画コンクール展(優秀賞)
1985 第1回和歌山版画ビエンナーレ展(大賞)
1986 第2回IBM絵画コンクール(大賞)
1989 第11回エンバ美術賞展(準大賞)
1995 第1回中国・北京現代展(優秀賞)
1997 第8回大阪トリエンナーレ展(特別賞)
<著書>
『そして地獄・そして芸術』(ギャラリー安里)
『中学が爆発する』(風媒社)
『きしめん紳士が行く』(風媒社)
『ナゴ・ナラ』(アドア出版)
『おもしろ老後生活術』(黎明書房)
『ピカソはやっぱり名古屋人』(アドア出版)
『僕らにできる教育革命』(アドア出版)
『名古屋力 アート編』(ワイズ出版)  
『名古屋力 妖怪篇』(ワイズ出版) 
『妖怪インニューヨーク』(ワイズ出版)等                   

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