Chim↑Pom(若手美術家集団)

岡本太郎の壁画に原発の絵のいたずら 
現代美術集団『Chim↑Pom(チン←ポム)』  

岡本太郎&Chim Pom
 5月18日の夜、渋谷の駅構内にある岡本太郎の壁画に『チン←ポム』若手美術家集団が反原発の絵をベニヤ1枚に描いて張り付けた。美術家集団だけあって構図も塗りも岡本太郎の作品に合わせたものだ。太郎が生きていたら小踊りして喜んだであろう。あるいは太郎はこれらの行為をあらかじめ予想していたかもしれないと僕は考える。万博の「太陽の塔」もある意味ではスキャンダルによって生き残ったと言っていい。一般的にはスキャンダルで知れ渡るというのは恥ずべきことを意味する。しかしスキャンダルをセンセーショナルな事件と捉えると必ずしもネガティブな面ばかりではない。それは社会に一石を投じるとともに、それを歴史の1ページとして我々の脳裏に焼き付ける働きすらする。   
太郎の作品に張り付いた『Chim↑Pom』の作品(上) 
 
 ピカソの「アビニヨンの娘たち」も反戦画の「ゲルニカ」もスキャンダルがあったから歴史に残ったと言える。ニューヨークのMoMA近代美術館に展示してあった「ゲルニカ」は、これまで反戦者によって幾度となく卵を投げつけられたり、赤いスプレーを掛けられたりしている。それで行くと今回は優しいものだ。

 『チン←ポム』は以前広島の空に飛行機雲で「ピカッ」という文字を描いた作品や、昼間に真っ黒けの花火を打ち上げ物議をかもしている。今回の行為も愛知トリエンナーレの総合プロデューサーであった建畠晢氏は好意的に芸術作品としてみている。もし愛知トリエンナーレのプロデュース中であったなら彼はそうはしなかったかもしれない。今は国立美術館館長を退職し京都市立芸術大学の学長だから本音が言える。もっとも、非難したら学生の総スカンを受けるだろうが。
「山彊先生はどう思うのですか?」。いやー、面白いね。彼らの思考は冴えている。岡本太郎へのオマージュと福島原発後の共感が感じられる。朝日新聞も好意的に書いていたけれど、今後出版される美術雑誌は彼らに対し英雄の取り扱いをするのではないか。

 ではこのような芸術行為は彼らが最初かと言うとそうではない。50年程前にこういった行為が世界でアートとして認められ始め、名古屋でもそれを真似て名駅前にあった青年の裸像彫刻に褌が取りつけられた(ペニスが丸見えなのでそれを褌で隠してあげたのだが警察は性犯罪として犯人を探していた)。「山彊先生が犯人だという説もあるが?」。それは違うね。東京のテレビ取材で僕が再現し、紹介をしたことはあるが犯人ではない。周囲の者が出過ぎた僕を貶めようと、ヘマをするのを待っていたからやる筈がない。まあ当時僕は、もっと楽しいことをしたかった。けれど周辺の絵描きを「それ見ろ。山彊は絵も描けないからアホなことをしている」と喜ばせたくなかったからしなかった。「じゃ、何をしたかったのですか?」今だから言うけれど、縮れたかつらを持って行って駅前の『ナナちゃん人形』の股に張り付けたかった。「キャー変態!」

グランドキャニオン作品 雪をキャンバスに
写真左:グランドキャニオンに掘られた作品 写真右:雪をキャンバスにした作品(講談社の現代美術全集より)

 さて外国ではと言うと、この頃は実にいろいろな芸術行為がなされていた。公園で煙幕をたいたり、あるアメリカのアーティストは動物園の檻に熊に代わって入ったりしていた。又愛知トリエンナーレの中心作家であった草間弥生は当時アメリカにいて、ニューヨークの街中でたくさんの裸女たちとパーフォーマンスをして物議をかもしたりしていた(この行為で彼女は有名になったと言えなくもない)。上の写真等は自然そのものをキャンバスにした超スケールの大きい作品だ。
         週刊朝日に載った偽石作品

 僕も先回のブログで書いた恐山で用いた軽い偽石に吸盤を付け、国会議事堂の正面や東京都美術館等の作品にひっつけて回っていた。現代の新しい美術として週刊誌に載ったことも度々ある。
写真左:週刊誌に載った私の吸盤の付いた偽石の作品
 一度など付けた作品が僕の後輩の高橋大阪芸大教授の教え子だったこともあり、大喧嘩になった。「何をするのですか。訴えてやる!」「あなた、芸術家なのにこの芸術行為を知らないのですか。吸盤でガラスの上に付けただけなのに・・」となった。今でも彼女は僕に会うと睨みつける。芸術もある面、命がけなわけだ。


画集



 ※別件ですが先回堀美術館で催された『針生一郎が選んだ愛知60年代の現代美術展』の画集が堀科学芸術財団の協力で完成しました。堀美術館で購入(二千円)できます。
写真右:『針生一郎の選んだ60年代の現代美術展』画集    
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プロフィール

絵描きの山彊

Author:絵描きの山彊
山田彊一プロフィール
1964「ニューヨーク,日本人アーティスト14人展(最年少で選抜される。脇田和氏らと) 
1967 第6回シェル美術展(佳作賞)
1981 第3回中日美術展(大賞)
1982 第4回エンバ美術賞展(優秀賞)
1983 第5回宇部絵画トリエンナーレ展(優秀賞)
1984 第5回大阪現代版画コンクール展(優秀賞)
1985 第1回和歌山版画ビエンナーレ展(大賞)
1986 第2回IBM絵画コンクール(大賞)
1989 第11回エンバ美術賞展(準大賞)
1995 第1回中国・北京現代展(優秀賞)
1997 第8回大阪トリエンナーレ展(特別賞)
<著書>
『そして地獄・そして芸術』(ギャラリー安里)
『中学が爆発する』(風媒社)
『きしめん紳士が行く』(風媒社)
『ナゴ・ナラ』(アドア出版)
『おもしろ老後生活術』(黎明書房)
『ピカソはやっぱり名古屋人』(アドア出版)
『僕らにできる教育革命』(アドア出版)
『名古屋力 アート編』(ワイズ出版)  
『名古屋力 妖怪篇』(ワイズ出版) 
『妖怪インニューヨーク』(ワイズ出版)等                   

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