山彊が考案する ゆるキャラ「口裂け女・母と娘」

山彊が考案するゆるキャラ「口裂け女・母と娘」

 ゆるキャラブームが続いている。だがよく見るとどれもみな似た者同士で、このまま生き残るとは思えない。他とはちがうユニークさで、なお且つ人々に知られ愛されるキャラでないと生き残るのは難しそうだ。先月引退した岐阜のヤナナだが、長い間たくさんの人に愛され、賞も取ったと言う。写真右下:岐阜のゆるキャラ、ヤナナ
だがこのヤナナ、僕にはもう一歩納得いかない。美術教育もやっている僕としては、あの作りは小学校の高学年並みのレベルに思える。
 ヤナナ
 それでもコンテストで賞を取り、名を残した。その理由をちょっと考えてみたい。まず第一に他県のゆるキャラのほとんどが縫いぐるみ系で似ているのに対し、このヤナナは段ボールをかぶるだけのシンプルなものだ。これなら製作費はほとんどいらない。新聞によると制作費1万円で、日本国内の全ゆるキャラの中で一番安いそうだ。それらの点ではとてもユニークだ。これが賞を獲得した一因かもしれない。
 僕は以前NHKの料理番組の審査員をやったことがあるが、大賞に選ばれたのはちょっと工夫を凝らしたコロッケだった。僕も選んだし他の4人いる全員の審査員も選んでいた。どうしてコロッケを選んだか。他の料理がみな凝っていて、どれも似ていて選びようが無かったからだ。そこへ素朴なコロッケ料理が出てきた。選びたくなるのは当然だ。コロッケは中身が馬鈴薯でなくレンコンだった点が少しユニークだった。
 これと同じことがヤナナにも言えるのではないか。「山彊先生、だって住民の評判も良かったのですよ」。僕が思うに、住民は正確にはどんなゆるキャラがいいか分からない。賞をもらったからきっといいんだと暗示を掛けられていることと、誰にもある郷土愛、特に岐阜県人のつまり地元のものを応援しようという気持ちがヤナナを持ち上げたのだ。
 ゆるキャラからは少し話がとぶが、毎年1月になると愛知県美術館に日展がやってきて評判になる。この地ではもし誰かが日展に入選しようものなら、その人は大いに尊敬され、最高に上手な描き手と見なされる。それは新聞社が日展を大きく取り上げ、大展覧会のように宣伝するからだ。名古屋以外の大都市、例えば東京、京都、大阪、福岡などでは日展は数ある公募展のうちの1つにすぎない。もし日展に入選したと言って威張る画家がいたら、田舎者だと冷笑されるだけだ。日展はもう地に落ちている。過去30~40年間で例えば東京芸大を出て日展に出した卒業生は一人もいないと思う。つまり人々の好き嫌いは周囲の状況や評判で多いに左右される。

オカザえもん
 岐阜のヤナナがそれでもいい評価を得ていたのは、かぶっている女性のキャラクター性にも多いに関係があると思う。言葉を使わないのに、身振り手振りで実際に話す以上に気持ちが伝わってくる。テレビでヤナナの特集をやっていたのを偶然見て感心してしまった。言葉を使わず、あれだけ表現豊かに行動出来れば、どんな縫いぐるみをかぶっても評判が出るのではないか。
 又、先日の中日新聞には「子供も泣き出す岡崎のゆるキャラ」と言う記事が、夕刊のトップに載っていた。写真左:岡崎のゆるキャラ「オカザえもん」(中日新聞より)
岡崎と言う字で顔や服を作ってあるのだ。初めは気持ち悪いとか、貧乏くさいとか散々な評価だったが、ブログやツイッター等で徐々に評判になり、8月の愛知トリエンナーレには岡崎の広報マンとしての役割を得たという。これなどは他のキャラクターにない気持ち悪さによって人々の注目を集めたという点で、やはりユニークだと言える。

 「では山彊先生ならどんなゆるキャラを作りますか」。
僕はもうすぐ『名古屋力・妖怪編』を出版する予定だが、その本に挿絵として入れるために、僕自身が考えたオリジナルの100体の妖怪画を描いた。その内2体は岐阜の「口裂け女」を扱ったものだ。
写真下:僕の描いた「口裂け女の母(左)と娘(右)」
口裂け女母口裂け女娘
 口裂け女の話は日本のあちこちにあるが、最初岐阜に現れたという説が今のところ有力で、4月に「ヤナナ」が引退した後、口裂け女が岐阜の次のゆるキャラになるという話を聞いた。僕は口裂け女はゆるキャラにはなりにくいと思っているが、マスコミがそう言っていたから、そうなる可能性もあるのだろう。前述したように偶然僕も『名古屋力・妖怪編』の中で口裂け女の話題を取り上げ、挿絵として口裂け女の母と娘を描いている。ゆるキャラにしにくい口裂け女だが、僕の挿絵のように親子にすると、結構ゆるキャラとしてもいけるのではないかと僕は思っている。
口裂け女
水木しげるも口裂け女を描いており、境港には『口裂け女』の銅像もある。写真左
僕の絵と見比べてほしい。
 
 ※今後僕の描いた『名古屋力・妖怪編』の挿絵100点を徐々に、このブログに載せたいと思っている。評判が良ければ、『名古屋力・妖怪編』出版後、『名古屋百鬼夜行』のタイトルでカラー画集も作りたいと考えている。秋には堀美術館か我が家をギャラリーにして『名古屋百鬼夜行』原画展を開きたいとも思っている。


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プロフィール

絵描きの山彊

Author:絵描きの山彊
山田彊一プロフィール
1964「ニューヨーク,日本人アーティスト14人展(最年少で選抜される。脇田和氏らと) 
1967 第6回シェル美術展(佳作賞)
1981 第3回中日美術展(大賞)
1982 第4回エンバ美術賞展(優秀賞)
1983 第5回宇部絵画トリエンナーレ展(優秀賞)
1984 第5回大阪現代版画コンクール展(優秀賞)
1985 第1回和歌山版画ビエンナーレ展(大賞)
1986 第2回IBM絵画コンクール(大賞)
1989 第11回エンバ美術賞展(準大賞)
1995 第1回中国・北京現代展(優秀賞)
1997 第8回大阪トリエンナーレ展(特別賞)
<著書>
『そして地獄・そして芸術』(ギャラリー安里)
『中学が爆発する』(風媒社)
『きしめん紳士が行く』(風媒社)
『ナゴ・ナラ』(アドア出版)
『おもしろ老後生活術』(黎明書房)
『ピカソはやっぱり名古屋人』(アドア出版)
『僕らにできる教育革命』(アドア出版)
『名古屋力 アート編』(ワイズ出版)  
『名古屋力 妖怪篇』(ワイズ出版) 
『妖怪インニューヨーク』(ワイズ出版)等                   

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