妖怪屋敷 第34弾 僕の雪男(イエティ)伝説

妖怪屋敷 第34弾
僕の雪男(イエティ)伝説

 先回春日井の民話にある『八百比丘尼』という不老不死の美女の話を書いた。今回は逆に男性の不老不死の話はないのか調べてみた。勿論仙人はすべて男性で不老不死だから省くが。「今、人気の妖怪話で不老不死の物語を知らないかと尋ねたら『サザンアイズ』に出て来る藤井八雲だ」とマンガ狂の教え子に言われた。

サザンアイズ 藤井八雲はヤングマガジン(講談社)で1987年から15年間ぐらい続いた漫画『3×3 EYES(サザンアイズ)』写真右:「サザンアイズ」の主人公だという。僕はあまり漫画は読まないが、ストーリーにチベットが登場し、僕もチベットの妖怪について書きたいと思っているから興味が湧いた。僕は以前インド領のチベット、レーの街へ一人旅をしている。チベットは国を分割されている。7割が中国、3割弱がインド、パキスタンが少々と。インド領のチベットでいいことは中国領と違ってあまりチベット文化が荒らされていないことだ。

 主人公の藤井八雲は民俗学者を父に持つ普通の高校生。その父がチベットで行方不明になってしまった。その頃はインド側しか入れなかったから、彼の父は僕と同じインド領チベットへ入ったことになる。父がいなくなって4年後、父の遺骨を持った可愛いい少女が突然八雲を訪ねる。そして「私は妖怪、三只眼吽迦羅(さんじやんうんから)。私を人間にしてほしい」と告げる。少女に頼まれても、当然断る八雲だったが、妖怪騒ぎに巻き込まれ、三只眼吽迦羅の秘術「不老不死の法」で不死身の身「无(ウー)」にされ…というストーリーで、彼は不老不死にされてしまう。

 実は僕もチベットからの帰国した後、イエティ(雪男)を主人公にした小説を書き始めている。40数年も前の話でやっと外国人に奥地への旅を許可した年でもあった。チベットへの一人旅で奥地まで入る際、バス車内で隣に座る男に聞かされたのは、バスが月に1台は悪路のため数百メートル下の谷間に転がり落ちることと、旅行者の外国人の100人に一人は高山病等で亡くなっているということだった。まさに死と隣り合わせの旅行であることを知った。また旅の途中、カルギルの粘土作りの民宿に泊まった時、そばを流れる河を指して「この河の下流にはアレキサンダー大王の落ち武者部落があって、そこの住民は色白でキスをする習慣があるのですよ」と宿の主人に言われた。アレキサンダーと言えばマケドニアの王でその歴史は紀元前に遡る。マケドニアのDNAがチベットの奥地に引き継がれているなんてすごいロマンをわき立てされる。このことが僕を虜にし、アレキサンダーとイエティの小説に向かわせたのだ。

 ところでちょっと話がそれるが、僕の泊ったこの宿はベッドの隅々にダニが隠れていて、とても都会の人間が寝られるものではなかった。そこで僕は部屋を閉め切り日本から持ち込んだ煙の出るバルサンコウを焚いたが、効果はなさそうだった。というのは壁も天井も泥で出来ており、天井には天窓のように大きな穴が開けてありそこから星の輝きが見られたからだ。もちろんガラスなどないことはいうまでもない。雨もほとんど降らないから必要ないのだ。この旅への注意事項によると、ペニスだけはダニに刺されないようにと記してあった。まあチンチンだけ刺されなければ死ぬことはないということでもあった。チンチンは刺されると腫れあがって尿道が塞がり、尿道炎になって死ぬこともあるということだ。いやはやバスのみならず宿も命懸けの旅だった。しかし冗談ではなくこの後、高度4000mのレーで僕は高山病に罹って九死に一生を得ている。

インダス川沿いのチベット
 さてその雪男小説の内容だが、紀元前のアレキサンダー大王の遠征から始まる。大王はインダス川に沿ってチベットの奥地まで来て、ここで引き返している。写真左:チベットのインダス川に沿う道。このあたりで大王は引き返す。
何があったのだろうか。その後大王はインドに下り、そこで象を操るインドの軍隊にてこずり、パキスタン方面に引き返してしまう。ここで大王は亡くなっている。
 大王がチベットで引き返したのは、あまりに過酷な遠征のため部下の一部が謀反を興してしまったからでないかと、僕は推測する。僕が部下だったら逃げだすか謀叛を起こす。それぐらいここはひどい環境なのだ。『西遊記』の中にも妖怪と考えられる猿や豚、河童がここを通っている。妖怪でなければここは越えられないであろう。そんなこともあり大王はやむなく引き返すが、謀反を起こした部下はヒマラヤ山中に留まることになる。下へ降りればアレキサンダーの部隊に見つかって殺されるかもしれないし、このまま奥地に入るには険しすぎてここに留まることしかできない。ちょうど山間にアンズの木の茂るチョッとした平地を見つけ、ここに定着をしてしまった。
 しかし問題もあった。山に残るのはいいが軍隊のため女がいない。原住民の女もいなくはないが数が少なすぎる。そこで女にありつけなかった兵は、近くにいる野生のヤク(羊科の動物)を捕えて獣姦の相手にしたのではあるまいか。
 こんなことを考えたのは、僕がチベットの旅で泊ったホテルの廊下には獣姦禁止の張り紙がしてあったからだ。今でも習慣になり地元民はやっているのではないか。獣姦は昔からごく一般的な行為ではなかったかと思う。常識的にはヤクと交尾しても子供は生まれない。だがこのチベットの奥地は雨もほとんど降らず空気も薄く、下界とは全てが違う。僕の小説では、様々な条件が関与して、人間とヤクの間に生命が宿る。そして誕生したのがヤクの毛を全身に生やした人間、すなわち雪男という設定だ。

グルミット村の家
 この小説の構想を考えたものの、いろいろ気になった僕は帰国後、アレキサンダーの落ち武者部落について調べてみた。そしたらなんとそれらしき村が見つかった。パキスタン領チベットの村グルミットだ。勿論ここも僕は、しばらくしてから訪れた。
写真右:グルミット村の家
 村で出会った男の子が「よかったら家に寄らないか。お母さんがお茶を御馳走してくれるよ。妹もいるよ」と誘ってきた。

少年の家の中
 
 先進国ならこんなことはあり得ないが、アフリカでもアマゾン奥地でも旅行者と見ると、こどもたちは皆家に連れていきたがる。旅行者は個人の家を見たがっていて、見せればお土産ももらえると踏んでのことだろうか。少年の家に着いて、母を紹介してもらった。写真左:少年の家を訪れて
 どことなくヨーロッパ人に思えなくもない。彼女が薪で火をおこし、お茶が出るまで30分もかかった。僕の心配は、いつ旦那が帰って来てぶん殴られるのではないかということだった。「またまた、ぶん殴られるような事でもしたのですか?」 と、とんでもありません。おぉ、こわっ!

 僕はこの小説を、原稿用紙600枚ぐらいまで書いたところで止めてしまった。アレキサンダーとイエティを噛ませればきっと面白くなると思ったが、途中から展開に行き詰まりを感じてしまったのだ。そうこうしているうちに本業というべき、絵の方が忙しくなり、この小説は未完のままとなってしまった。40歳になった頃のことだ。
 最近このブログの「妖怪屋敷シリーズ」を書いているうちに本にして出版したいという気になってきた。その際このチベットの旅のさわりだけでも入れたいと思っている。できれば来年の7月26日の幽霊の日に出版したい。もしこの本がヒットしたら、雪男小説の続きも妖怪がらみだから書こうと思っている。

雪男足跡
 ところで中断したままの僕の小説だが、その後の展開としてこの雪男を不老長寿の妖怪にして人間の娘と恋をし、3つの国に分割されてしまったチベット王国を再興するために戦うヒーローの話にしたいと思っている。この雪男、時折探検家にも姿を見られ、世界ニュースになることもある。日本から雪男を探しにやって来て亡くなった、あの鈴木紀夫も物語に噛ませる。今なら中国との戦いも入れなければならないだろう。

写真左:1951年、イギリスの登山家が撮った雪男の足跡     
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尻軽女

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東京ってこんなに尻軽女が多いんですねwww
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プロフィール

絵描きの山彊

Author:絵描きの山彊
山田彊一プロフィール
1964「ニューヨーク,日本人アーティスト14人展(最年少で選抜される。脇田和氏らと) 
1967 第6回シェル美術展(佳作賞)
1981 第3回中日美術展(大賞)
1982 第4回エンバ美術賞展(優秀賞)
1983 第5回宇部絵画トリエンナーレ展(優秀賞)
1984 第5回大阪現代版画コンクール展(優秀賞)
1985 第1回和歌山版画ビエンナーレ展(大賞)
1986 第2回IBM絵画コンクール(大賞)
1989 第11回エンバ美術賞展(準大賞)
1995 第1回中国・北京現代展(優秀賞)
1997 第8回大阪トリエンナーレ展(特別賞)
<著書>
『そして地獄・そして芸術』(ギャラリー安里)
『中学が爆発する』(風媒社)
『きしめん紳士が行く』(風媒社)
『ナゴ・ナラ』(アドア出版)
『おもしろ老後生活術』(黎明書房)
『ピカソはやっぱり名古屋人』(アドア出版)
『僕らにできる教育革命』(アドア出版)
『名古屋力 アート編』(ワイズ出版)  
『名古屋力 妖怪篇』(ワイズ出版) 
『妖怪インニューヨーク』(ワイズ出版)等                   

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