ヤマザキマザック美術館と堀美術館

名古屋の私設二大美術館
名古屋の文化に貢献する『ヤマザキマザック美術館』と『堀美術館』

ヤマザキマザック美術館
 名古屋には文化が無く、文化に貢献する企業も少ないと言われる。その少ない中で特出しているのが、この数年で現れた上記の2つの美術館ではあるまいか。

 『ヤマザキマザック美術館』は名古屋市東区の地下鉄新栄駅すぐ上にあり、駅の地下道から直接美術館に行くことができる。隣には『ヤマザキマザック』の社屋も建っている。「お金儲けだけでなく文化も大切にする」といった米国的ないい企業印象を人々に与えている。また美術館の建物は洗練された芸術文化的な雰囲気を漂わせ、名古屋という都市の文化レベルアップに貢献している。
写真右:ヤマザキマザック美術館
お金さえ儲かれば他の事なんてどうでもいいといった国とは全然違う。

ブーシェ
 収蔵作品は18世紀ヨーロッパのロココ美術が中心になっている。中でも目立つのはブーシェやフラゴナールだ。写真左:ヤマザキマザック美術館所蔵作品、フランソワ・ブーシェ「アウロラとケファロス」
日本にこの時代の絵画は少なく、コレクションされている作品は総額で数百億円するのではあるまいか。中にはロココ以外にピカソやアール・ヌーボーのエミール・ガレのオリジナル花器数十点も揃っている。現代美術家としての僕からすれば、少しでも戦後の現代アートも収集してあればいいのにという気持ちもある。この美術館が名古屋地区で最大の愛知県美術館に劣る点をあげるとすれば、この戦後の美術作品の収集が無いということだろうか。

 一方『堀美術館』を支えるダイテックはこの世界規模の企業と比べると見劣りがするけれど、ヤマザキマザックよりはるかに地元への貢献をしている。先日、名古屋芸術大学の某教授から言われたが「どうして堀美術館(堀財団)はあれだけの助成を我々、この地区の芸術大学にしてくれるのか。東京や大阪にも例が無く、あのトヨタより勝っている」と、喜んでいた。写真右下:堀美術館
堀美術館
 彼が堀財団について言いたかったのは2年に一度、名古屋地区の3芸大(県芸、名芸、名造形大)の学生に対し与えている金銭的な援助についてだ。それぞれの大学に優秀な学生合計15人を推薦してもらい一人15万円を与え、その選ばれた画学生の作品展を栄の展示場(ダイテックビル・ジャズのブルーノートの上階)で催す。その中で優秀な者1名には百万円与え、次に優秀と判断した2名には三十万円を与える。またこの3人はその年の香港やシンガポールで行われる世界的なアートフェアにも財団の費用で見学できるという副賞まで付く。このようなケアは他都市ではありえないのではないか。今の画学生は目標を失って混沌としている。そこにひとつの明快な目標を与えようとするのが堀財団の狙いなのだろう。
 この地の3つの芸大を競わせるのも面白い。選ばれた作品を見れば3つの大学のランクが付いてしまうかもしれない。1つの大学に3つの賞がかたよってしまうこともあり得る。のんびり構えていた先生達にも、これはいい意味でのプレッシャーになる。
 また別に堀財団は、これまで各年おきに催されている全国区の『Dアートビエンナーレ(コンクール)』も続いて行い、次回は賞金を先回の10倍ぐらいにあげようと考えているようだ。こうなると全国的な話題を集めているシェル美術展の賞金よりはるかに上回り、若い芸術家達の眼も名古屋に集まるのではないか。そして名古屋がアートの中心になることもあり得る。何故こんなことができるのか。アートを愛し、地元名古屋の文化の発展を願うやり手のオーナーがいるからだろう。
 さらに堀財団は美術家だけでなく、この地方の若い科学者達の卵にも年間、1億近いお金を支援している。

藤田嗣治 エヴァ
 さて堀美術館の美術館としての絵画コレクションは、ヤマザキマザックがヨーロッパの美術作品が中心なのに対して、日本絵画に絞った歴史的なすばらしい作品ばかりだ。三岸節子の大作を中心に梅原龍三郎や安井曽太郎、佐伯祐三等、大正、昭和初期の有名作家の作品群が多い。今年は外国での評価も高い、藤田嗣治の『エヴァ』(61×46cm)写真左をコレクションし、展示もしている。場所も歴史的雰囲気の漂う「文化のみち」、東区の貞奴邸の北西100mに位置し、白壁町のど真ん中にある。
 2つの美術館は共に東区にあり、近いところに存在している。名古屋の文化も捨てたものではないという確認のためにも一度寄っていただけたらと思う。

 名古屋市は名古屋の近代化の歩みを伝える歴史的な建造物が多く集中している名古屋城から白壁町さらに徳川園や建中寺などの地区一帯を「文化のみち」とし、イベントの実施や、貴重な建築遺産の保存、活用を進めている。それに加えて東区では生の形で芸術に触れる画家のアトリエ訪問という企画も構想中という話があり、僕のアトリエでよかったら開放するよと話してある。来る文化の日(11月3日)はこのエリアもお祭りで、たくさんの人でにぎわうと思われる。様々な文化に触れるよい機会だと思う。


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プロフィール

絵描きの山彊

Author:絵描きの山彊
山田彊一プロフィール
1964「ニューヨーク,日本人アーティスト14人展(最年少で選抜される。脇田和氏らと) 
1967 第6回シェル美術展(佳作賞)
1981 第3回中日美術展(大賞)
1982 第4回エンバ美術賞展(優秀賞)
1983 第5回宇部絵画トリエンナーレ展(優秀賞)
1984 第5回大阪現代版画コンクール展(優秀賞)
1985 第1回和歌山版画ビエンナーレ展(大賞)
1986 第2回IBM絵画コンクール(大賞)
1989 第11回エンバ美術賞展(準大賞)
1995 第1回中国・北京現代展(優秀賞)
1997 第8回大阪トリエンナーレ展(特別賞)
<著書>
『そして地獄・そして芸術』(ギャラリー安里)
『中学が爆発する』(風媒社)
『きしめん紳士が行く』(風媒社)
『ナゴ・ナラ』(アドア出版)
『おもしろ老後生活術』(黎明書房)
『ピカソはやっぱり名古屋人』(アドア出版)
『僕らにできる教育革命』(アドア出版)
『名古屋力 アート編』(ワイズ出版)  
『名古屋力 妖怪篇』(ワイズ出版) 
『妖怪インニューヨーク』(ワイズ出版)等                   

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