やなせたかしの世界展 始まる かわら美術館

「やなせたかしの世界展」始まる
かわら美術館にて  2012年 7月14日~9月9日
多くの子供達が美術館のリピーターになるのでは

やなせたかしの世界展
 「アンパンマン」の漫画や「手のひらを太陽に」の作詞でおなじみのやなせたかしの作品展が高浜のかわら美術館で始まった。写真右:会場入り口のポスター
漫画だけでなく詩や絵本の原画の展示もある。近頃は東日本大震災で被災した人々に、「アンパンマンマーチ」の愛と勇気と正義の歌が、立ち直る意欲と癒しを与えて話題になった。彼は90歳を超えて引退を決意するが、被災地の人々の頑張りを見て、現役を続けることにしたという。
 美術館で漫画の展覧会をするのってどうなの?と考える人もいるかもしれないが、僕はよかったと思う。彼はただの漫画家ではない。絵も描き、詩も書きそれが見る人にやさしい気持ちや勇気を与える漫画家だ。

 漫画展といえども美術館で行うということを美術館側も意識してか、派手な飾り付けにせず美術展らしい雰囲気にしている。会場には「アンパンマン」はもちろん「優しいライオン」の原画とそれに添えた文も並び、子供たちの目を惹きつけそうだ。絵や文の展示も子供達の身長に合わせてある。だが僕はもっと漫画を全面に出してもいいと思う。例えばアンパンマンのぬいぐるみやグッズなどを会場のコーナーに置いて子供たちがあそべるようにするなどだ。

やなせたかし展パンフより
 現代の世界のアートは油絵であろうが日本画であろうが、漫画であろうが区別されなくなってきている。いいものはいいのだ。今や日本が世界に誇る芸術家は村上隆や奈良美智、また合田誠やMr.といったアーティストだが、彼等を漫画家と言っても大きな間違いではないと思う。逆に近頃は芸術家として作品を出す日本画の先生のほうが、ただのもの真似絵師となり下がっている場合が多い。
写真上:やなせたかしの作品群
 この展覧会でもっと嬉しいことは、ものすごくたくさんの子供たちの来館が予想できることだ。子供のうちから美術館に来る習慣をつければ、大人になっても気軽に作品を見に来るリピーターになるだろう。この数年、僕はアメリカやエジプト、オーストラリア等の美術館を訪れているが、そこには先生に連れられた子供たちがうようよいる。作品の前で座ったり、作品の模写をしたりしている。そして僕が通ると気軽に声も掛けて来る。改まったところがない。この体験が欧米等ではあたりまえで、人々はその後、気軽に美術館へ足を向けるようになる。
やなせたかし
 日本の美術館は、子供たちにとってお寺へ来ているような雰囲気になる。「大きな声を出すな」「走るな」「館内でガムを噛むな」「写真を撮るな」等々、規制が多すぎる。上記の美術館では一度もこんな規制を受けたことはない。フランスのルーブルへ行ったのは10年くらい前になるが、こんな規制をしていなかったと思う。日本では美術館を見学している人の半分以上が中年のおばさんだったり、みな神妙な顔をして黙って観賞していたりする。こんな情景に遭遇すれば、子供たちにとって美術館は楽しいところではなくなる。だから日本では「ちょっと気軽に美術館まで」等と言う習慣が生まれない。ドイツの友人宅へ寄った折、いるはずだった友人がいなかった。後からどうしていたのと質問したら、散歩のついでにちょっと美術館に寄って来た、と言うことだった。ヨーロッパ人みたいに散歩でふらりと寄ったという存在になる美術館に日本もなってほしい。写真右上:自作のキャラクターとやなせたかしさん

 今回のかわら美術館の企画はそんな意味でも素晴らしいことではないか。かわら美術館は高浜の子供達にとって近所だし、無料だからきっとほとんどが観にやってくるだろう。美術館に来る習慣の付いた高浜の子供達は、文化にも目を向けたバランスの取れたすばらしい大人になるのではないか。
僕も今回はまた孫を連れて観にきたいと思っている


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プロフィール

絵描きの山彊

Author:絵描きの山彊
山田彊一プロフィール
1964「ニューヨーク,日本人アーティスト14人展(最年少で選抜される。脇田和氏らと) 
1967 第6回シェル美術展(佳作賞)
1981 第3回中日美術展(大賞)
1982 第4回エンバ美術賞展(優秀賞)
1983 第5回宇部絵画トリエンナーレ展(優秀賞)
1984 第5回大阪現代版画コンクール展(優秀賞)
1985 第1回和歌山版画ビエンナーレ展(大賞)
1986 第2回IBM絵画コンクール(大賞)
1989 第11回エンバ美術賞展(準大賞)
1995 第1回中国・北京現代展(優秀賞)
1997 第8回大阪トリエンナーレ展(特別賞)
<著書>
『そして地獄・そして芸術』(ギャラリー安里)
『中学が爆発する』(風媒社)
『きしめん紳士が行く』(風媒社)
『ナゴ・ナラ』(アドア出版)
『おもしろ老後生活術』(黎明書房)
『ピカソはやっぱり名古屋人』(アドア出版)
『僕らにできる教育革命』(アドア出版)
『名古屋力 アート編』(ワイズ出版)  
『名古屋力 妖怪篇』(ワイズ出版) 
『妖怪インニューヨーク』(ワイズ出版)等                   

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