アンデパンダン「460人展」市民ギャラリー

アンデパンダン展形式の「460人展」開催

460人展
 名古屋市民ギャラリー矢田でアンデパンダン形式の『460人展』が2012年5月2日~5月6日まで開かれている。写真右:「460人展」の受付
 アンデパンダン形式というのは出品料(今回は5000円)を払えば誰でも出品できる展覧会だ。驚いたのはこの地の著名人画家が、まだ無名の美大生等に交じって出品していたことだ。ボストン美術館館長の馬場駿吉さん、愛知県美術館の主任学芸員の拝戸雅彦さん、県芸や名芸、名造大の教授や准教授達、市野英樹、大崎正裕、加藤鉦次、倉知比紗支、設楽知昭、登山博文、櫃田伸也さん等この地ではよく知られた人たちだ。お金をもらうことはあっても学生と同等に出品料を払って、これらの人が出品するなんて信じられない。3年前のプレ愛知トリエンナーレ展では「県から50万円もらえたから出してやる」と僕にうそぶいた者もいる。その者も今回は5000円を出している。これは嬉しい誤算だ。行政には強いが教え子には弱いということか。

坂本夏子さんの作品 またビエンナーレ作家で版画家の原健さん、3年前堀財団が催した「Dアート・フェスティバル」(出品すれば5万円もらえた)に選ばれたのに、それを蹴った坂本夏子さんまで付き合っている。彼等もすごいがこの展覧会を企画して、それぞれに出してくれるように説得に行った若い子たちはもっとすごいと思う。これまでこのような企画をした者は全国的に見てもいないと思う。やれば叩かれるに決まっているから誰もやらない。写真左:鋤枘ふくみさん作品
 「山彊先生も色々やっているのでは?」だからそのしんどさを知っているから言える。何か問題が起きたら責任は取らなくてはならないし、赤字を出したら、それは係が補填しなくてならない。僕が今若かったとしても、この企画に踏み切れるかどうか自信がない。というのは過去に開催されたアンデパンダン展の大変さを経験しているからだ。
 
 日本で一番よく知られたものは東京都美術館で1949~1963まで読売新聞の主催で催されたものだ。この展覧会は常に物議を醸していた。芥川賞作家の赤瀬川源平さんは千円札の模写を出して警察に捕まり、裁判にまでなり、吉岡康弘さんは女性器接写写真を出し、また天井から肉片を吊るしたりと大変だった。かくいう僕も針生一郎企画のアンデパンダン展に数回出品している。結局最後は作家と新聞社、美術館が反目しあい、中止に追い込まれてしまった。これらを知っているから、怖くてアンデパンダン形式の美術展は自ら企画しなかった。出品者から少しでもお金を出してもらうと、出品者がどんなものを出そうとも文句を言いづらく、企画主催者の立場が弱くなる。僕自身以前、愛知県美術館に「これがアートだ!」としゃべる九官鳥を出し、一悶着あり主催者には迷惑をかけている。だから企画者としてはお金をもらう美術展はしたくない。また出品者側も美術にかける意気込みで体を張っていた。だから美術家と美術館の対立、けんかはしょっちゅうだった。

460人展会場風景写真左:会場風景
 かつてのアンデパンダンの熱い時代を思い出しながら、今回どんな作品が並んでいるか見に出かけたが、問題となるような作品は全然無かった。これはこれでいいことだが、戦後の長い間アートに携わっってきた僕としては判断に苦しむ。今回の460人展を企画した人たちがかつてのアンデパンダン展を意識してやったとは思えないので、比較すること自体に意味のないことかもしれないが。僕等の若かった時代、アートは常に行政との戦いであったように思う。出品する側としては、歴史に残ってやるか、さもなければトラブルを起こして有名になってやろうという思考の持ち主が多かったけれども、今は皆無な気がする。

桶川さん達の作品  この展覧会には僕が名芸で教えた生徒も幾人か出していた。目立つところでネットを使ってその才能を際立たせていた岡川卓詩君、美人でセンスのいい谷村彩さん、頑張ってほしい。今、金城学院大学で教えている桶川ちあきさん、在学中のあと2年間で彼女をどこまで指導できるか分からないが、ものすごいやる気でいる生徒だから楽しみにしている。金城学院大にも美術学科があることを証明してほしい。
そして何といっても460人もの出品者を集めてこの展覧会を開いた企画者の若者たちには、拍手喝采を送りたい。来年も頑張って名古屋のアートを盛り上げてほしい。

写真右:金城学院大学の桶川さんの作品(上) 
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アンデパンダン展形式の「460人展」開催 名古屋市民ギャラリー矢田でアンデパンダン形式の『460人展』が2012年5月2日~5月6日まで開かれている。写真右:「460人展」の受付アンデパンダン形式というのは出品料(今回は5000円)を払えば誰でも出品できる展覧会だ。驚いたの?...

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その絵は坂本夏子さんのものではなく鋤柄ふくみさんという方のものです。両者とも設楽研究室出身ということもあり確かに作風はかなり似てはいますが…
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プロフィール

絵描きの山彊

Author:絵描きの山彊
山田彊一プロフィール
1964「ニューヨーク,日本人アーティスト14人展(最年少で選抜される。脇田和氏らと) 
1967 第6回シェル美術展(佳作賞)
1981 第3回中日美術展(大賞)
1982 第4回エンバ美術賞展(優秀賞)
1983 第5回宇部絵画トリエンナーレ展(優秀賞)
1984 第5回大阪現代版画コンクール展(優秀賞)
1985 第1回和歌山版画ビエンナーレ展(大賞)
1986 第2回IBM絵画コンクール(大賞)
1989 第11回エンバ美術賞展(準大賞)
1995 第1回中国・北京現代展(優秀賞)
1997 第8回大阪トリエンナーレ展(特別賞)
<著書>
『そして地獄・そして芸術』(ギャラリー安里)
『中学が爆発する』(風媒社)
『きしめん紳士が行く』(風媒社)
『ナゴ・ナラ』(アドア出版)
『おもしろ老後生活術』(黎明書房)
『ピカソはやっぱり名古屋人』(アドア出版)
『僕らにできる教育革命』(アドア出版)
『名古屋力 アート編』(ワイズ出版)  
『名古屋力 妖怪篇』(ワイズ出版) 
『妖怪インニューヨーク』(ワイズ出版)等                   

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