『名古屋妖怪三十六景』より㉚

『名古屋妖怪三十六景』より㉚

㉚ 妖怪「白澤(はくたく)」
出現場所:北区辻町羊神社周辺


 名古屋市北区辻町に未(ひつじ)年だけ賑わう羊神社がある。僕の通っていた中学から近いのでこのあたりには詳しいと思っていたが、この羊神社の存在を僕は20年ほど前まで知らなかった。一度も同級生仲間たちの話題に上がったこともないし、勿論親や大人たちから聞いたこともない。すぐ近くに弟の嫁の実家もあるのに噂にも出なかった。

 羊神社の由来は、群馬県多胡群の領主「羊太夫」が、奈良の都へ上る時に立ち寄っていたゆかりの屋敷が、この地(名古屋市北区辻町)にあり、この土地の人々が平和に暮らせるようにという願いを込めて羊太夫が、火の神を祀ったといわれ、羊神社と呼ぶようになったとのこと。又ここを「住昔火辻村」と呼んだがそれが辻村→辻町に変わったようだ。延喜式神名帳に「尾張の国山田郡羊神社」と記されていることから1,000年以上の古社と思われる。明治5年、村社に指定されている。

 近年その年の干支の名がある神社を初詣に参拝する風潮が広まり、1980年頃からやっと未年だけ人がくるようになった。近くにある伊奴(イヌ)神社も同様だ。しかし参拝者が来るのは12年に一度。それも最近のことでそれ以前はどうやって存続させてきたのだろうか。伊奴神社は犬=安産の神様で参拝者を呼び込める。

北斎が描いた白澤 では羊神社は?僕が思うに、「白澤」(はくたく)と呼ばれる羊によく似た神獣を羊神社と結び付けたのではないか。白澤は古代中国の山海経に登場し、人語を解し万物に精通すると言われ、徳の高い為政者の治世に姿を現し世直しをすると同時に病魔除けもすると信じられていた。これなら人々はご利益があると参拝に来ただろう。白澤の絵は魔除けになるため江戸時代には道中の宿で、お守りとして枕元に置いて寝たという。北斎漫画の1冊の最後のページに、腹にいくつもの目があり背中にも角の生えた白澤が大きく描かれている。
写真右:白澤 北斎漫画より

 こんな白澤妖怪が羊神社に住み付き、住民を守り、この神社を生き永らえさせたのではないかと僕は想像し、「妖怪 白澤」描いてみた。僕の描いた白澤妖怪は元気でピンク色をしている。白澤のお尻の上には猿が乗っかっていて、来年は僕の出番だと待ち構えている。


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妖怪白澤
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プロフィール

絵描きの山彊

Author:絵描きの山彊
山田彊一プロフィール
1964「ニューヨーク,日本人アーティスト14人展(最年少で選抜される。脇田和氏らと) 
1967 第6回シェル美術展(佳作賞)
1981 第3回中日美術展(大賞)
1982 第4回エンバ美術賞展(優秀賞)
1983 第5回宇部絵画トリエンナーレ展(優秀賞)
1984 第5回大阪現代版画コンクール展(優秀賞)
1985 第1回和歌山版画ビエンナーレ展(大賞)
1986 第2回IBM絵画コンクール(大賞)
1989 第11回エンバ美術賞展(準大賞)
1995 第1回中国・北京現代展(優秀賞)
1997 第8回大阪トリエンナーレ展(特別賞)
<著書>
『そして地獄・そして芸術』(ギャラリー安里)
『中学が爆発する』(風媒社)
『きしめん紳士が行く』(風媒社)
『ナゴ・ナラ』(アドア出版)
『おもしろ老後生活術』(黎明書房)
『ピカソはやっぱり名古屋人』(アドア出版)
『僕らにできる教育革命』(アドア出版)
『名古屋力 アート編』(ワイズ出版)  
『名古屋力 妖怪篇』(ワイズ出版) 
『妖怪インニューヨーク』(ワイズ出版)等                   

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