かわら美術館と禿げ頭

かわら美術館と禿げ頭
瓦は家の髪の毛??
 金城学院大学のゼミ生が3人、タイルに興味を持ち、タイルの新しい利用方法や商品化について教えてほしいと、僕のアトリエを訪ねて来るという。タイルや陶磁器には僕も興味があり、これまで沢山のコーヒーカップ等を作ったり、仲間であった鯉江良二陶芸家に僕の創った300余の生徒のライフマスクを焼いてもらったり、瀬戸の教え子には陶器の額を創ってもらったりしている。常に新しい挑戦をしてきたつもりだ。だが芸術の風潮や技術は刻々と変わる。  
高浜観音
 今がどんな状況なのか学生達に会う前に知識を得ておこうと、高浜のかわら美術館に『日本陶芸展』(2月18日~3月25日)を見に出かけた。まあ、なんとこれが陶器かとびっくりするような技の超凄い作品が並ぶ。美術は行くところまで行き白けてしまったけれど、陶芸は技に活路を求め行きづまっていない。陶芸をやっている人にはこの展覧会は必見だ。
 美術館の帰り、すぐ北にあるちょっとした小山に登った。山の上に陶器で創った世界一でかい観音様があると聞いていたからだ。
写真上:関根伸夫の庭と世界一でかい陶器の観音様
 登っていくと中年で額の禿げあがった男性がえらく長くお祈りをしていた。「この観音様は何の御利益があるのですか?」僕は尋ねてみた。
「わたしも教えてもらったことなので定かでありませんが、拝むと頭髪が増えるそうなんです」と、はにかんだ答えが返ってきた。彼によるとここ高浜は瓦の町。瓦は家屋敷にとっての頭髪にあたる。この町の一番の宝はこの陶器瓦で出来た観音様。だから効き目があるというのだ。そうなるとかわら美術館観賞もその点では禿げに御利益があるということになるのではなかろうか。禿げた人にとって毛が生えるとなればなんでもすがるのだ、と聞いたことがあるが本当なのだ。
参拝に来た禿げ男性
写真左:毛が生えるならと直ぐモデルになってくれた男性
 マスコミ関係の仕事をしている僕の60歳になる教え子はしみじみという。40歳ごろからこの頭のために1千万円は使っただろう。増毛剤の数々から始まって植え込みの相談まで、途中は頭を黒くするためふりかける黒い粉まで、大変だった。風呂で頭を洗うとタイルの床がまっ黒になる。それを妻が咎める。今はスキンヘッドでもう頭髪は諦めたが、北風が吹くとその寒さは頭を無数の針でつつかれているような感じになるという。
 この観音様と美術館の間にある庭がまたすごい。これは僕の青春時代、憧れだった東京の現代美術の作家である関根伸夫の創った庭なのだ。半日見てても飽きないほどすごい庭だから、世界遺産ならぬ高浜遺産にすべきものだ。僕がピカソ以外、作品で一番影響を受けたのがこの関根だった。彼はアイデアに優れ、多くの彫刻作品を残した。その後の御影石を使う彫刻家が数多く現れたが、全て彼の真似といっていい。病気で名前が消えてしまったの は悔やまれる。
ルイ14世とその家来
 ところで、禿げですぐ思い浮かぶのがルイ13世。若はげのためかつらを付けていた。息子のルイ14世も父親の威厳を引き継ぐため、かつらを愛用した。するとその家来たちもそれに続けとかつらをつけ始めた。ヨ-ロッパの裁判官が被るあの白い根元をカールしたかつらはこの時の名残なのだ。
写真右:かつらを付けたルイ14世とその家来
 北朝鮮の金正恩も父ちゃんがかつらだったらきっと真似てかぶっていただろう。高浜が禿げに御利益があると評判になったら、アデランス等の会社を誘致してもいいのではないか。「瓦とかつらの町」、良いネーミングだ。
 高浜にみえたら、自分か、夫のために観音様を拝んでこの庭も鑑賞してみてください。勿論かわら美術館にも入場してくださることを願っています。


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プロフィール

絵描きの山彊

Author:絵描きの山彊
山田彊一プロフィール
1964「ニューヨーク,日本人アーティスト14人展(最年少で選抜される。脇田和氏らと) 
1967 第6回シェル美術展(佳作賞)
1981 第3回中日美術展(大賞)
1982 第4回エンバ美術賞展(優秀賞)
1983 第5回宇部絵画トリエンナーレ展(優秀賞)
1984 第5回大阪現代版画コンクール展(優秀賞)
1985 第1回和歌山版画ビエンナーレ展(大賞)
1986 第2回IBM絵画コンクール(大賞)
1989 第11回エンバ美術賞展(準大賞)
1995 第1回中国・北京現代展(優秀賞)
1997 第8回大阪トリエンナーレ展(特別賞)
<著書>
『そして地獄・そして芸術』(ギャラリー安里)
『中学が爆発する』(風媒社)
『きしめん紳士が行く』(風媒社)
『ナゴ・ナラ』(アドア出版)
『おもしろ老後生活術』(黎明書房)
『ピカソはやっぱり名古屋人』(アドア出版)
『僕らにできる教育革命』(アドア出版)
『名古屋力 アート編』(ワイズ出版)  
『名古屋力 妖怪篇』(ワイズ出版) 
『妖怪インニューヨーク』(ワイズ出版)等                   

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