11世紀中国の離婚条件

『清明上河図』の描かれた時代(11世紀北宋)の離婚条件

清明上河図
 いま国立博物館に中国の最大級の国宝『清明上河図』が来ている。先日NHK のテレビでも紹介していた。この作品は絵描きの僕が見ても驚くほどうまくて、舌を巻く。今、愛知県美術館で『日展』が開かれているが、こちらは1000年も後の作品なのに勝負にならない。描写力、観察力全て優れ、なおかつ歴史資料としても超一級なのだ。写真上:『清明上河図』の作品写真(部分)

 「山彊先生はこういう写実的な絵は描かないのですか」。小、中、高校生の頃の美術の時間はそれしか教わらなかったから、もちろん描く絵は全て写実的だった。大学1年の折りの担当教授の3人が日展に出品していた。まだ美術を始めたばかりで、美術界の状況を知らなかったのですごく偉く思えたのだが、一年間美術史の勉強をしたら3人の教官のしていることが幼稚に思えてきて、僕自身は日展のような写実的な描き方を止めてしまった。
  
 19世紀中頃、アートの意味がそれまでの技術的なものから個性を持った創造的なものに変わった(Oxford辞典)ことからもわかるように、アート(美術)は独創的なこと、人のやらないことをするようになった。だからゴッホやゴーギャン、セザンヌ等はデッサンは下手でも、新しい境地を切り開いたその独創性で認められている。
 当時、例えば日本の平山郁夫よりはるかに著名な写実アートの名手、ポール・ドラロッシュという画家がいたが、今はほとんどの人が彼の名を知らない。彼は写真機が現れた時、それまでの写真的(写実的)アートは終わったという有名な言葉を吐いた絵描きだ。彼の言うとおり写実を描く絵描きは歴史から消えてしまっている。だから今のヨーロッパでもアメリカでも日展的な絵は絵はがきぐらいにしか残っていない。僕もだから大学の2年の折、写実的アートから足を洗ったのだ。今美術をやっている若者はほぼ僕の感覚と同じらしく東京芸大の学生も愛知芸大の学生も誰一人として、日展には出そうとしない。

 さて『清明上河図』だが、芸術の定義など何も叫ばれていないAD1000年頃の、しかも勿論写真機もなかった頃の作品だ。これを見ていると当時の街の雰囲気が手に取るように感じられる。僕はもう20年も前にこの『清明上河図』について研究し、ノートにまとめている。というのは、雪舟の研究をしていたその当時、雪舟が一緒に明へ渡った仲間に「中国に自分を超える画家はいない」と宣伝していたらしいことに疑問を持っていたからだ。そして色々調べるうちに、雪舟より数百年も前の時代に、雪舟とは比べ物にならないほど上手な画家が中国にいるのを発見し、驚いたのである。数々の表情を持った民衆や犬、猫、牛、馬、ラクダ、ロバ等目を見張るデッサン力で描いている。雪舟の描く馬やラクダと比べれば一目瞭然だ。まあ一度国立博物館まで行って見ていただくと分かる。
雪舟の馬,駱駝作品
写真上:雪舟の馬やラクダ作品

 このあたりのくだりは、今後、雪舟論としてこのブログでも書き進めるから読んでいただけると嬉しい。今日はこの時代のおもしろいお話を一つ。この『清明上河図』の描かれた北宋の時代を調べていたら離婚のことが出てきたので書かせていただいた。男性にとってこの時代に生まれるべきだったと思わせる内容なのだ。ついでに書き加えれば、法律で決められた結婚最低年齢は男15歳で女13歳であった。

北宋時代の離婚の条件、こんな妻なら離婚できる(勿論夫から妻へで、逆はまずない)
 ①子供ができない ②姦通した ③嫉妬心が強い ④姑、小姑に従わない ⑤夫の悪口を言う ⑥盗みをする(盗み食いや、里へこつそり持って行く) ⑦悪い病気を持っている
… 21世紀の現代から見るとまさしく桃源郷、これに対し
現代の離婚条件、こんな夫なら離婚する(勿論妻から夫へ)を僕が勝手にまとめてみた。自分の周囲しか見ていないのでいわゆる熟年離婚的なものが多いけれどご勘弁願いたい。
 ①定年になって家に居座る ②海外旅行へ一緒に行きたがる ③性的に弱すぎる(強すぎてもだめらしい) ④妻に逆らう ⑤妻とフィーリングが合わぬ(勤めで家にほとんどいないときはよかったが)
 
おもしろ老後生活術 こうなると離婚条件なんていくらでも出てくる。そこで僕が今から20年前に友人の女性精神科医と二人で出した『おもしろ老後生活術』の本の中から、彼女の患者の例を通して見た現代の離婚観をまとめてみよう。
「以前は夫が精神的におかしくなると、妻は子供の面倒をみながら夫とも別れず働いて家庭を守っていた。今は夫がおかしくなったら妻はすぐ離婚する。逆に妻がおかしくなったら、夫は子供と妻の面倒を見ながら働き食事も作り家庭を守る」。だそうだ。これは20年前の話だから、今はもっとエスカレートしていると思う。この本は名古屋のどこの図書館に行ってもあるので読んでいただければうれしい。要は現代では妻の方が圧倒的に強く、全ては女性の采配で決まるというようなことだ。

写真右:『おもしろ老後生活術』(黎明書房)
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プロフィール

絵描きの山彊

Author:絵描きの山彊
山田彊一プロフィール
1964「ニューヨーク,日本人アーティスト14人展(最年少で選抜される。脇田和氏らと) 
1967 第6回シェル美術展(佳作賞)
1981 第3回中日美術展(大賞)
1982 第4回エンバ美術賞展(優秀賞)
1983 第5回宇部絵画トリエンナーレ展(優秀賞)
1984 第5回大阪現代版画コンクール展(優秀賞)
1985 第1回和歌山版画ビエンナーレ展(大賞)
1986 第2回IBM絵画コンクール(大賞)
1989 第11回エンバ美術賞展(準大賞)
1995 第1回中国・北京現代展(優秀賞)
1997 第8回大阪トリエンナーレ展(特別賞)
<著書>
『そして地獄・そして芸術』(ギャラリー安里)
『中学が爆発する』(風媒社)
『きしめん紳士が行く』(風媒社)
『ナゴ・ナラ』(アドア出版)
『おもしろ老後生活術』(黎明書房)
『ピカソはやっぱり名古屋人』(アドア出版)
『僕らにできる教育革命』(アドア出版)
『名古屋力 アート編』(ワイズ出版)  
『名古屋力 妖怪篇』(ワイズ出版) 
『妖怪インニューヨーク』(ワイズ出版)等                   

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