「京展」と京都ギャラリー散歩

「京展」と京都ギャラリー散歩

京都美術館玄関
 6月11日まで京都市主催の美術コンクール展「京展」(写真右)が開かれている。このコンクール展に僕のグループの二人が入選した。そこで同グループの元美女メンバー8人を伴って観に出かけた。
 この美術コンクールはもう何十年にも渡って開かれているが、日展や二科展のように同じ会の長老画家が審査をするのと違って、出品者と関係のない者が公平な視点から審査をするので選別に信頼がおける。同じ会の画家が選ぶと技法だけ見て一番重要なアイデアを重視しなくなる。さらに悪いことには年功序列や義理人情のしがらみなども選考材料に入ってくる。
 そんなわけで僕はグループのメンバーに、公平な審査をしてくれるこの京展に出すように勧めている。ここで入選すれば日展や二科という公募団体も実力を認めざるを得なくなるのではないか。京都や大阪の芸大生や、また卒業生も自分のレベルを計るためにチャレンジしてくるという。このコンクールでは、いくら上手くても誰かの模写的な作品は認められず、絵画的な技巧がなくても作家のオリジナルな個性が発揮されているかどうか、作品にエネルギーがあるかどうかが選出の決め手であるようだ。

松井さんの作品
 入選した僕のメンバーの松井真善さんは昨年九州の大きな版画コンクールでも大賞をもらった版画家で、不思議な雰囲気の人物を描くのを得意としている。今回の作品は頭の上に蚊取り線香のような模様を入れ、彼独特のイメージが削がれてしまったのが、少々気になった。
写真左:松井さんの作品

鈴木さんの作品
 鈴木知子さんの作品は200号程の大賞作品の隣に展示してあり、巨大なソーセージかファラスをイメージする作品を出している。小さいけれど迫力では大賞作品にも負けていない。バックの柄がまだ目立つから、もっとソーセージもどきを大きくしてもよかった。
写真右:鈴木さんの作品
彼女のご主人も応援して京都まで作品を運んでくれたという。これも女性が作品作りをする場合重要なことだと思う。

 さて美術館を出た後は南側の細い川に沿った小道を「ギャラリー16」に向かった。この道がとても素敵だった。奈良から名古屋まで通っている我らのグループの女性は京都に関しても詳しく、ここは恋人達によく知られたデートスポットであるという。小川の水が透明で、勢いよく揺れる水草がなんとも言えない雰囲気を出している。「ギャラリー16」はその奥のビルの3階にある。

ギャラリー16での僕の個展
 京都では一番有名な現代美術を扱うギャラリーで、僕も50年近く前ここで個展をした。写真左:個展の案内パンフ
シャボン玉自動つくり機を使った作品を展示したので、部屋中シャボン玉が飛びかっていたのを思い出す。
 ずいぶん昔のことなので、今ギャラリーで働いている係りの若い女性は知らないだろうと思っていたら、僕の個展の噂を聞いているらしく「たくさんのマスコミがみえたそうですね」と言ってくれた。

シャボン玉製造機作品(名タイ紙上)
 まだ若かった僕はこの成功に気を良くし、愛知県美術館でもその後、1部屋を暗くしてシャボン玉を飛ばすという展覧会を開いた。この美術行為も大きく新聞に載った。写真右:僕の展示を取り上げた名古屋タイムズの記事
当時の先端の美術界は誰もやっていない新しい話題性のある美術行為を取り上げようという機運があったし、僕が目指そうとしている美術もその線上にあった。だが美術面では田舎の名古屋では少々早すぎた感もあった。 

 このギャラリーの下、2階部分にはゲテモノ展示場がある。入れ歯や義眼、古びた人形等目をそむけたくなるような汚い品が売られている。名古屋ではまず存在できないような店で3階のギャラリーのおかげで客が寄るようだ。おじけを知らない女性達は必死に掘り出し物を探し購入していた。僕も目玉を2個買った。
ゲテモノ店で売られている目玉 ゲテモノ人形と村瀬さん
写真左:僕が買った目玉   写真右:ゲテモノ人形と村瀬さん

満足稲荷にある包帯が巻かれた狐像
 ここを出てまた小道を行くと満足稲荷前に出た。秀吉が何か満足したことがあって建てられたらしい。ここで京都人の名古屋人にない心の深さ、面白さを見せつけられた。ここの稲荷神社に立つ狐の石像が古くなって足にひびがはいったようだ。その足のヒビ部分にはなんと真新しい包帯が巻かれているではないか。写真左:包帯が巻かれた狐像
「いやー、面白いね!さすが京都人。」「これぞまさしく現代美術!」皆で感心することしきり。

ドイツの雰囲気がある川沿いのダム
 そこからまたしばらく歩くとドイツのライン川沿いで見掛けるような、緑のつるに絡まれたレンガ造りのダムにぶつかった。
写真右:ドイツの雰囲気がある川沿いのダム
京都の街にドイツを見つけたのだ。琵琶湖から引いている水道のための水路らしい。古さ新しさだけでなく、洋の東西も融合させてしまうこの街のすごさを見せつけられた。


 ここで南に進路を変え、京極方面に向かった。水曜日のためか閉めている画廊が多かった。そんな中ふと前を見るとわが家へいつも案内状をくれる宮脇ギャラリーが目にとまった。一度寄ってみたかったギャラリーだ。
ここは名古屋の若い画家、西村一成君や大阪の塔本賢一君のお母さん(塔本シスコ)を売り出そうと懸命なギャラリーなのだ。塔本賢一君は僕とだいたい同世代で30年前頃にはコンクールでよく僕と賞を取りあった仲だ。

西村君の作品 塔本シスコさんの作品
写真左:西村一成作品      写真右:塔本シスコ作品
 二人(西村一成、塔本シスコ)ともアウトサイダーの芸術家で売り出すことが容易ではない。けれどもし売り出せる画家がいるとするならばこれらのアウトサイダーの画家たちだろうと僕は思っている。西村君にはバスキアを塔本シスコさんにはアンリ・ルソーを連想している。バスキアにはアンディー・ウォーホルがルソーにはピカソが周辺にいて、そのこともあり世間の注目を浴びたが、精神的なことで外に出たがらない西村君と、48歳の折脳溢血で倒れリハビリで絵を描きはじめたシスコさんも亡くなっているので認められるのは大変なことだ。バスキアもルソーも作品だけでなく自らを売り出そうとするパフォーマンスもあったので後世に残っている。これが出来ない二人はどうしたらいいだろうか。それを承知で二人を扱う宮脇ギャラリーには頭が下がる。
 
タコ焼きをほおばる中国人観光客
 最後はよく知られた錦市場を皆さんに案内しながら京都駅に向かった。中国人の旅行客のおばさんたちがたこ焼きを買って美味しそうにむしゃぶりついていた。中国人の女性も今では京都の風景の一部になっているのが、面白い。

写真左:たこ焼きは中国人にも人気があるとか
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御礼等

昨日はご自宅にお邪魔して、世界のグンと拡がるお話を多々おうかがいし有り難うございました。

今は、いただいたご本を読んでいる所であります。

処で、昨日名前を忘れてしまった岐阜の版画家の名前ですが桂川成美さんという方で、7月か8月に「いまじん」で個展があると聞いています。
堀江さんの加納高校での教え子です。

お書きのことで驚いたことは、シャボン玉アートのことです。

岐阜県出身で日本の現代美術で活躍されているのは、日比野克彦氏と大巻伸嗣氏のお二人かなと思います。
大巻氏が一昨年母校で風船飛ばしアートだったか?を行い結構こちらの新聞には出ました。

今ではパフォーマンスとのフュージャンも珍しくないのでしょうが、半世紀前ともなると廻りの方は驚かれたと思います。

心に浮かぶ感性の表れとして作品があるのでしょうが、感性そのものもその場で生み出すというまさに先駆的なアイディアとして感嘆しました・

頂いた御著書について

前略 頂戴致しました御著書「名古屋力アート編」と奥様の著書「少女マンガにおけるホモセクシュアリティ」を拝読しました。
2冊とも大変面白くて、最近中々経験することができない読書の楽しみに浸ることができました。

先生のご本はまさに入魂の1冊で、素晴らしい内容と歯切れの良い文章で感嘆致しました。

奥様の本は、私はこういう話題は好きですので、自分の思いの方が色々とあふれてきまして、押さえるのに困りました。
実にスリリングと言って良い読書となりました。

今後ともよろしくお願い申し上げる次第であります。誠に有り難うございました。
カウンター(since2011.1.1)
プロフィール

絵描きの山彊

Author:絵描きの山彊
山田彊一プロフィール
1964「ニューヨーク,日本人アーティスト14人展(最年少で選抜される。脇田和氏らと) 
1967 第6回シェル美術展(佳作賞)
1981 第3回中日美術展(大賞)
1982 第4回エンバ美術賞展(優秀賞)
1983 第5回宇部絵画トリエンナーレ展(優秀賞)
1984 第5回大阪現代版画コンクール展(優秀賞)
1985 第1回和歌山版画ビエンナーレ展(大賞)
1986 第2回IBM絵画コンクール(大賞)
1989 第11回エンバ美術賞展(準大賞)
1995 第1回中国・北京現代展(優秀賞)
1997 第8回大阪トリエンナーレ展(特別賞)
<著書>
『そして地獄・そして芸術』(ギャラリー安里)
『中学が爆発する』(風媒社)
『きしめん紳士が行く』(風媒社)
『ナゴ・ナラ』(アドア出版)
『おもしろ老後生活術』(黎明書房)
『ピカソはやっぱり名古屋人』(アドア出版)
『僕らにできる教育革命』(アドア出版)
『名古屋力 アート編』(ワイズ出版)  
『名古屋力 妖怪篇』(ワイズ出版) 
『妖怪インニューヨーク』(ワイズ出版)等                   

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