YOKAI (妖怪) in New York 第30話 ロックフェラーセンターとセイレンと666

YOKAI (妖怪) in New York
第30話 ロックフェラーセンターとセイレンと666

電飾されたクリスマスツリーとGEビル
 ニューヨークのロックフェラーセンターというと毎年クリスマスに飾られる大きなツリーでよく知られている。僕もこの時期に数回訪れている。1日中人であふれかえり、まるでお祭りのようだ。昨年もそうだった。
写真右:電飾されたクリスマスツリーと背後のロックフェラーセンターのGEビル


セイレン像
 人ごみを縫ってツリーをカメラに収めようと最前列へ出た。そこで目に付いたのは目の前にある魚の尾が2本付いたセイレン像(写真左)だ。これまで意識しなかったのはツリーやスケートリンクに気を取られ思考の外側にあったのだろう。今回のニューヨーク訪問は妖怪探しの旅だから、何か変わったものはないかと常にアンテナを張り巡らしているから、今までだったら気付かないものもいろいろ目に入ってくる。それとも妖怪側から僕に呼びかけたのかも入れない。

メトロポリタン美術館のセイレン像
 セイレンはギリシャ神話や古代ギリシアのホメロス作による『オデュッセイア』の中で登場し、美声で船乗りを誘惑するという悪霊として知られる。まあ妖怪といってもいい存在だ。セイレンは上半身が人間の美女で下半身は鳥だ。
写真右:メトロポリタン美術館にあるセイレン像
それが現在の人魚スタイルになる前、二本の鳥の足がまず2本の魚の尾になり、さらにそれが一般に知られる一つの尾の人魚になるらしいのだ。2本あるということは変身過程にあるということだろうか。この像が何故ロックフェラーセンターで一番大きなGEビルの正面に置かれているのかとても不思議に感じた。

 ロックフェラーセンターで有名な像といえば、地球を担ぐアトラス像やスケートリンク前の金のプロメテウス像だ。いずれもギリシャ神話に登場するが、セイレンは特に妖怪っぽい。訪れた人々を誘惑して虜にしてしまうために置かれたのだろうか。
アトラス  プロメテウス像(中央)とセイレン像(左手前)
写真左:アトラス像  写真右:スケートリンクとプロメテウス像、左手前にセイレン像の尾の部分が見える。

 ジョン・ロックフェラーは石油王だ。米国で鉄道業を一気に衰退させ、自動車を普及させたのは彼だと言われている。彼は鉄道業を放棄させるため、鉄道会社株をその前に買いあさっているから、それが可能になったのだろう。日本もロックフェラー財団には苦い経験がある。バブルの頃、このロックフェラーセンターを日本企業が買収してしまった。このことは日本でも大きく報道され、人々は驚き、日本もそこまで財力があるのかと喜んだ人も多かった。だがロックフェラー財団はすぐに取り返している。ビル内の多くの店子(テナント)に解約をさせビルから出してしまったのだ。こうなるともう日本企業はテナント料が入らずビルを持ち堪えることができなくなり、安く叩かれ結局は売ってしまうしかなかった。まあ言ってみれば日本はセイレンの美声の誘惑にそそのかされたのかもしれない。

スタバコーヒー
 このセイレン像を商標として使い伸びているコーヒーチェーン店がある。緑色を使い丸の中に女の体と魚の尾が左右にのびた絵柄を使っているスターバックコーヒーだ。1971年にシアトルで開業し、テイクアウトや歩き飲みができるスタイルにしたため爆発的に広がっている。実はこの人魚のデザイン、最初の商標は足の下まで描かれていたのだが股の部分が開かれていて卑猥であるということで、腰までのデザインに変わってしまった。いずれにせよセイレンが客を誘惑してこの店の売り上げを伸ばすのに一役買っているのかもしれない。
写真右上:スターバックコーヒーの商標の変遷 上のデザインが卑猥とかで、1992年以降腰から下のデザインにしたといわれる。

 ロックフェラーセンターにはまだ不思議がある これは1976年の映画『オーメン』や数年前話題となった『ダビンチコード』でもとりあげられた数字666のことだ。この数字は『ヨハネの黙示録』の中で「獣の数字」とも「悪魔の数字」とも言われキリスト教徒には古来より嫌われている数字だ。この数字がなんとGEビルの入り口と70階の最上階正面の左側に記されている。しかもここの住所は666番地だ。アメリカの象徴、ニューヨークの象徴であるこのビルに堂々と記されているのは何故だろうか。

 実はロックフェラーはアメリカのフリーメイソンでもあるらしい。フリーメイソンは、16世紀後半から17世紀初頭に、判然としない起源から起きた友愛結社で、現在多様な形で全世界に存在し、その会員数は600万人に上ると言われている。会員には財閥、ユダヤ系の人も多いと言われ、ロックフェラーも一説ではユダヤ系アメリカ人とも言われている。ユダヤ人はAD1世紀当時、「キリストを処刑せよ」と叫んだことでも知られている。近代以降世界の経済を握ると言われるのは彼らなのだ。それを知ると車社会の創設も日本がビル買い占めに失敗したことも頷ける。666はキリスト教にとって悪魔の数字でもユダヤ人には精神の拠り所となる数字なのだ。米国の強さはこのような別の価値観を持ったものが共存できるところにあるかもしてない。

フリーメイソンシンボルマークユリゼンあるいはデミウルゴス

 話をフリーメイソンに戻すと、そのシンボルマークとして有名なのが定規とコンパスとGの文字を組み合わせたもの(写真左)だが、巨大なコンパスを持った神の像のレリーフ(写真右)がGEビルの入り口にある。ここにもフリーメイソンとロックフェラーの関連を示すものがある。


プロビデンスの目 
 またもう一つの有名なシンボルマークはプロビデンスの目(神の全能の目)(写真左)と呼ばれるものだが、これはアメリカ合衆国の国章の裏面や1ドル紙幣の裏にピラミッドとともに描かれている。
写真右下:1ドル紙幣の裏、ピラミッドの上にプロビデンスの目が描かれている。

1ドル紙幣の裏面
 アメリカ建国当時の大統領や政府の要人はフリーメイソンが多かったと言われている。世界の基軸通貨ドルを支配するのもまたユダヤ人もしくはフリーメイソンということなのか ロックフェラーセンターにはまだまだ多くの壁画や彫刻がいっぱいある。そしてそれらには設立者の意図が謎めいて?図像化されている。そのシンボルの意味するところを読み解いていくのは面白い。ロックフェラーセンターはまるで妖怪センターのようだ。


<ニューヨークの妖怪シリーズ>

 さて今回も上記の話に因んだ僕のオリジナル妖怪画を紹介したい。

㉚ 『ロックフェラーセイレン666』
 
ロックフェラーセイレン666


 ロックフェラーを守っている二股の尾のセイレン。666の悪魔の数字を髪の毛に忍ばせ、アメリカ国旗のパンツを履いてこの国を牛耳っているように描いてみた。

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プロフィール

絵描きの山彊

Author:絵描きの山彊
山田彊一プロフィール
1964「ニューヨーク,日本人アーティスト14人展(最年少で選抜される。脇田和氏らと) 
1967 第6回シェル美術展(佳作賞)
1981 第3回中日美術展(大賞)
1982 第4回エンバ美術賞展(優秀賞)
1983 第5回宇部絵画トリエンナーレ展(優秀賞)
1984 第5回大阪現代版画コンクール展(優秀賞)
1985 第1回和歌山版画ビエンナーレ展(大賞)
1986 第2回IBM絵画コンクール(大賞)
1989 第11回エンバ美術賞展(準大賞)
1995 第1回中国・北京現代展(優秀賞)
1997 第8回大阪トリエンナーレ展(特別賞)
<著書>
『そして地獄・そして芸術』(ギャラリー安里)
『中学が爆発する』(風媒社)
『きしめん紳士が行く』(風媒社)
『ナゴ・ナラ』(アドア出版)
『おもしろ老後生活術』(黎明書房)
『ピカソはやっぱり名古屋人』(アドア出版)
『僕らにできる教育革命』(アドア出版)
『名古屋力 アート編』(ワイズ出版)  
『名古屋力 妖怪篇』(ワイズ出版) 
『妖怪インニューヨーク』(ワイズ出版)等                   

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