山彊のニューヨーク個展 妖怪作品 レディガガ、マリリンモンロー、ラブクラフト

山彊のニューヨーク個展 妖怪作品
レディガガ、マリリンモンロー、ラブクラフト


花魁妖怪レディダダ
 2015年10月に出版した僕の本『妖怪イン・ニューヨーク』にレディーガガを入れることを忘れてしまった。そこで急遽ガガ妖怪を描いた。
写真右:僕の描いた『花魁妖怪 レディ・ダダ』 デュシャンらのダダイズム運動のダダに噛ませたタイトル
というのは彼女はニューヨーク生まれで、僕のニューヨーク妖怪認定基準ではこの街一番の妖怪ともいえるからだ。しかも生き神ならぬ生き妖怪だ。ニューヨークの街に一番フィットして、妖怪と言われても何の違和感も感じないのが彼女だ。

 彼女の突飛な行為は数えきれないほどだが、例をあげれば生肉のドレスや嘔吐アートがある。嘔吐アートはガガ自身のものではなく、ガガがお気に入りの嘔吐画家ミリーブラウンをガガのショウのステージにあげ、自分の体に嘔吐物をかけさせるというパフォーマンスを行ったというものだ。「不潔だ、気分が悪い」など非難囂々だったが、ガガは一切意に介さなかったとのこと。
 嘔吐アートは、まず胃の中を2日かけて空にしてから豆乳とまぜた絵具を飲みこむ。その後、喉に指を差し込んで、画用紙に色のついた豆乳絵具を吐き出すのだ。いやー気持ち悪いね。こんなこと誰がアートとして思いつくものか。しかしこの嘔吐作品の値段はレディガガがお墨付きを与えたことで数千ドルに跳ね上がったという。
写真下:ガガに吐瀉物を浴びせる嘔吐画家
ガガと嘔吐画家
 「これが芸術か?」といわれると評価が分かれるだろう。しかし現代美術の歴史を見ればデュシャンの作品『泉』以降、既成の芸術に異議を唱える芸術家たちが起こした反体制、前衛芸術など一般には分かりにくく、「これが芸術?」と疑問を持つものが、芸術的には認められている。そう考えれば、妖怪だって芸術と繋がってくる。一般常識の枠を越えたものが芸術として認められ、それらはえてして常識を越えた妖怪的で奇怪な行為から生み出されているのだ。

 ニューヨークの僕の個展にもし彼女が来てくれたら、僕の作品の上に今度はガガが吐いてくれると嬉しいが。そうすると僕の作品は二人の共同作品となって値が上がる。少なくとも数千ドルにはなるかも。
 以前にも書いたがこのような共同(?)作品で値が上がった作品がある。ウォホールの版画作品『毛沢東』を見た有名な役者のデニス・ホッパーが興奮して作品めがけピストルで2発の弾をぶち込んだ。この穴の開いたウォホール作品、共同作品として値が上がり2500万ドルになったとか。

 これまでに発表された汚い作品例としては60年近く前、イタリアの画家のマンゾー二が自分の糞を缶詰に入れた作品がある。作品を美術館で展示した折、たくさんの観客から抗議の電話が入ったという。糞なんかを我々の税金で建てた美術館に展示するなということだ。この作品今では認知されて、10年ほど前にはイタリアを離れ、愛知県美術館でも展示されたことがある。

デュシャン作『泉』
 先に挙げたデュシャンの『泉』もよく似た例だ。20世紀の最大の美術作品は何かという問いに対してはピカソの『アビニヨンの娘たち』が一般的には挙げられるが、人によっては価値観の視点を180度の転換させたデュシャンの便器作品『泉』を挙げる人もいる。この作品はデュシャンが男性用便器をどこかから持ってきて、その便器を90度逆向きに置いて、『泉』というタイトルで美術展に展示したことで知られる。
写真右:デュシャン作『泉』
 この作品を見た審査員は全員が作品撤去を命令したとか。「汚く不潔だ。またこの作品には芸術の必要条件である創造性、個性がない。機械的に次から次に作り出される工業製品で同じものが大量にできるから芸術として成立しない」と。作者であるデュシャンに言わせれば「どこにも作者の手が入っていなくとも、それを選んだ作者の目がある。これで十分に個性的ではないか」となる。この便器の作品、現代では20世紀を代表した作品としてピカソの『アビニヨンの娘たち』と並ぶ、誰しもが認めている大芸術作品となっている。このような芸術の歴史を知れば、嘔吐作品が数千ドルの価値を持つ芸術作品といわれても納得できるだろう。


 さて前にもこのブログで書いたと思うが、今年2016年10月27日から11月3日、ハロウィンの最中にニューヨーク、マンハッタンで僕の個展を開く予定だ。個展は拙著『妖怪インニューヨーク』の本の中で紹介した僕のオリジナル妖怪が中心となるが、原画はA3サイズなので、もっと大きくよりリアルにしたいと思い60号サイズ(140×100㎝)に描き直している。今までに仕上がった3点についてちょっと紹介させていただきたい。
 
①『花魁妖怪 レディダダ』

男根の櫛 足元のフレンチブルドック
写真左:男根の櫛のアップ  写真右:ガガの飼っているフレンチブルドッグのアップ
 レディガガの常軌を逸した華々しい存在は花魁を連想させることから、花魁の格好をしたガガを描いた僕の妖怪作品。彼女もきっと花魁スタイルが気にいると思う。彼女の飼っているフレンチブルドッグを加えたりして、彼女が欲しくなるよう気を使って仕上げた。彼女は今バハマで休暇中というが、10月にはニューヨークへ戻って僕の個展に来てくれるたら嬉しい。

②『妖怪 モンロースカートめくり』

妖怪モンロースカートめくり
 モンローは彼女にまつわるエピソードが多すぎてどのように描くか困った。でも彼女はもうこの世にはいないから見に来ないこともあって少し品悪く面白く仕上げてみた。俵屋宗達の『風神』を入れ、その風神がスカートをあおぐため風袋でモンローの足元から風を送るようにした。映画『七年目の浮気』でモンローのスカートを持ち上げた地下鉄の風もどこかで妖怪が絡んでいるように思う。ニューヨークの地下鉄にはいろんな妖怪が住んでいるから。それにモンローは6本指であった?とも言われているから6本の金髪の髪束を頭の上に乗せてみた。この作品もアメリカで受けたらうれしい。ハリウッドでモンローの泊まっていた部屋には時々彼女の幽霊が出ると掃除婦のおばさんが言うけれど、ひよっとして僕の個展にもあの世から来てくれるかもしれない。個展はちょうどハロウインの最中でもある。ハロウインは亡くなった人も亡霊となって戻ってくるかもしれないから。そんな場合はサインをもらっておこう。
写真右上:『妖怪モンロー スカートめくり』
写真下:スカートに風を吹きかける俵屋宗達の風神のアップ

風神のアップ

③『妖怪 ラブクラフト』

妖怪ラブクラフト
 ラブクラフトは知る人ぞ知るといった恐怖の小説家。日本の江戸川乱歩や夢野久作によって我が国に紹介されている。フランケンシュタインや狼男に魔女といった旧態然とした妖怪の世界に新しい革命を起こした作家。地底や海底、宇宙から来たような新しいタイプの恐怖妖怪を創り出している。彼の特徴の長い顔と彼の生み出した様々な妖怪を合体してみた。

写真右:妖怪ラブクラフト
写真下:ラブクラフト本人の写真

ラブクラフト


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プロフィール

絵描きの山彊

Author:絵描きの山彊
山田彊一プロフィール
1964「ニューヨーク,日本人アーティスト14人展(最年少で選抜される。脇田和氏らと) 
1967 第6回シェル美術展(佳作賞)
1981 第3回中日美術展(大賞)
1982 第4回エンバ美術賞展(優秀賞)
1983 第5回宇部絵画トリエンナーレ展(優秀賞)
1984 第5回大阪現代版画コンクール展(優秀賞)
1985 第1回和歌山版画ビエンナーレ展(大賞)
1986 第2回IBM絵画コンクール(大賞)
1989 第11回エンバ美術賞展(準大賞)
1995 第1回中国・北京現代展(優秀賞)
1997 第8回大阪トリエンナーレ展(特別賞)
<著書>
『そして地獄・そして芸術』(ギャラリー安里)
『中学が爆発する』(風媒社)
『きしめん紳士が行く』(風媒社)
『ナゴ・ナラ』(アドア出版)
『おもしろ老後生活術』(黎明書房)
『ピカソはやっぱり名古屋人』(アドア出版)
『僕らにできる教育革命』(アドア出版)
『名古屋力 アート編』(ワイズ出版)  
『名古屋力 妖怪篇』(ワイズ出版) 
『妖怪インニューヨーク』(ワイズ出版)等                   

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