第1回 愛知県3芸術大学選抜H/ASCA展

第1回 愛知県3芸術大学選抜H/ASCA展 始まる

期間:2013年3月24日(日)~3月31日(日)
場所:名古屋・ダイテックサカエビル6階クリエイトホール
   〒460-0003名古屋市中区錦3丁目22番20号
   丸善、明治屋ビル前  ℡ 052-856-5520
展示作品:愛知県立芸術大学、名古屋芸術大学、名古屋造形大学の学生の造形作品の中でより現代的であると各大学が評価したそれぞれ5点、計15点を展示。


 第1回 愛知県3芸術大学選抜H/ASCA展が開催されている。この美術展は堀財団(ダイテック)が名古屋のアートの質を高めるために催したもの。この名古屋の地は芸事には優れていても、芸術には今一歩とささやかれている。そのレベルアップにと考え出されたのが上記の展覧会なのだろう。学生のうちから本道の芸術思考を養っていけば、卒業してからも周囲に流されることなく、自身の芸術を発展させていけるであろうと言うことか。またそれぞれの大学が同レベルで競えば、互いが意識してレベルアップにつながるのではないかと言う読みも主催者側にあったと思われる。

幾度目かの春
 学生の創作意欲を高めるために、財団はかなり太っ腹な賞を与えている。最高賞には100万円、2位には50万円、3位には30万円を与え、この受賞者3人にはさらにおまけの賞として香港やシンガポール旅行に招待し、現地のアートフェアーの現場も見せると言うのだ。これはまず世界中、どこのコンクールにもないすごいことだ。画家として生きていくための世界の生のアートシーン現場を見ることができる。また残る12人の出品者には各15万円ずつが渡される。

 ところで作品批評だが、1位の村上仁美さんの作品は女性特有のエロス的情念が見る者にインパクトを与え、僕は「八百比丘尼」を連想した。入念に作り込んであり、全作品を消去法で見ていくと、この作品しか残らなくなってしまう。
写真右:最優秀賞 村上仁美「幾度目かの春」

バルカロール
 2位の山田麻由さんの映像作品だが、見ていると引き込まれてしまうところがすごい。感性のある女性なのだろう。
写真左:優秀賞 山田麻由「バルカロール」
映像作品はベニス・ビエンナーレ、ドイツのドクメンタ展等、世界レベルの大きな美術展でも大きな存在を占めるようになってきているから、今回の出品も納得がいく。(ついでに述べるがこの財団の堀会長はこれらの世界の美術展や、香港等のアートフェアー、いま東京の森美術館で開かれている「会田誠展」にも足しげく出かけ、現代美術に対する研鑚も怠りなく、そのやる気には頭が下がる)

Omnia fluunt
 3位の今井美圭さんは日本画で現代アートへの挑戦したため、感動を得るには難しかったが、とても若者のアートと思われない作風で、仕上げているところが面白かった。ヘビの登場や色使い等、あの松井冬子の延長線上にあるように思われた。僕はここに描かれている蛇の頭をロボット仕立てにすると世界でも通用すると思うのだが。
写真右:準優秀賞 今井美圭「Omnia fluunt」

 賞には入らなかったが宮本恵さんも異様な構成が気になった一人だった。半年前CBC テレビが学生相手に行ったコンクールにも彼女は出品していた。僕は審査前にちらりと見て、大賞は彼女の作品以外あり得ないと思ったが(実際そうなった)、今回はそれを4倍程大きくしただけの作品でタッチが甘く、安易な作品作りが気になった。指導している先生がひとこと言ってやればよかったのにと思われる。写真下:宮本恵「とける」
とける

 今回の作品に対する評価は、当然学生への評価であるが、教える先生への評価でもあると考えてもらいたい。先生の指導の仕方次第でもっと学生達のレベルをあげられると思う。3大学の先生達が、自分等の教えている学生が出しているこの展覧会を、何人見に訪れるかすごく気になるところだ。会場では大学の選考委員の教授に「どんな主旨で選んだのか教えてほしい」と言われた。これまでも常に堀財団の美術展には見学に来ていて彼女の意気込みは分かるが、それは主催者側が伝えるべきことではなく、指導する先生が作品を見て判断してほしいものだ。仲間の教授達にも聞いて来年の作品展の傾向と対策を創ってもいいのではないか。僕は愛知県の各美術大学の卒展や作品展などほとんど見ている。これを出せばいいのにと思う作品が出ていないのは惜しい。
 また3芸術大学選抜に対して、名古屋学芸大学や愛知教育大学等から何故うちは入れてもらえないかと言った意見があった。僕(山田彊一)が学生の頃、美術科のある大学は愛知教育大学しかこの愛知県にはなく、画家はほとんどこここの出身者であった。なのに今回の大学選択から漏れている。彼らの意見に対しては「先生方がやる気で教えれば、財団も考えるのでは?」と話しておいた。

 出品された作品は大作が多く、それぞれの大学の事情や学生達の日常を想像しながら見ると、凄く面白い。男子学生達は概してやる気が無い。受賞パーティーでも女性たちは活発で、世界を駆けまわるわが国最大のオークション会社の倉田社長を取り巻いて、売り込みや情報収集に余念がないのに、男たちは近付こうともしない。(余計なことだが恋も同じで、今の男たちは女たちからお声のかかるのを待っている。もう僕には信じられない)
 こんな元気な女性達を見て、授賞式で賞受者名が発表されたら跳び上がって喜んでくれるものと思ったがそれは無かった。大判振る舞いをした会長としてはそれくらい喜んでほしかっただろうが、彼女らも遠慮したのかもしれない。
 僕は大学二年生の折り当時の桑原愛知県知事から100万円近い賞がもらえて飛び上がって喜んだことがある。出る釘は打たれるの例えで、よく先輩の元名古屋芸術大学教授に目立ち過ぎると指摘された。こんなことがあり僕の眼は名古屋を無視し東京へ向くことになる。これが良かったかどうかは気になるが、堀財団の授賞式では前愛知県知事の神田さんから「それでもめげず生き残った山田さんだから現在があるのでは?」と言われ、喜ぶ単純な僕ではあるが。



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プロフィール

絵描きの山彊

Author:絵描きの山彊
山田彊一プロフィール
1964「ニューヨーク,日本人アーティスト14人展(最年少で選抜される。脇田和氏らと) 
1967 第6回シェル美術展(佳作賞)
1981 第3回中日美術展(大賞)
1982 第4回エンバ美術賞展(優秀賞)
1983 第5回宇部絵画トリエンナーレ展(優秀賞)
1984 第5回大阪現代版画コンクール展(優秀賞)
1985 第1回和歌山版画ビエンナーレ展(大賞)
1986 第2回IBM絵画コンクール(大賞)
1989 第11回エンバ美術賞展(準大賞)
1995 第1回中国・北京現代展(優秀賞)
1997 第8回大阪トリエンナーレ展(特別賞)
<著書>
『そして地獄・そして芸術』(ギャラリー安里)
『中学が爆発する』(風媒社)
『きしめん紳士が行く』(風媒社)
『ナゴ・ナラ』(アドア出版)
『おもしろ老後生活術』(黎明書房)
『ピカソはやっぱり名古屋人』(アドア出版)
『僕らにできる教育革命』(アドア出版)
『名古屋力 アート編』(ワイズ出版)  
『名古屋力 妖怪篇』(ワイズ出版) 
『妖怪インニューヨーク』(ワイズ出版)等                   

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